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元文科官僚が退職金はたいて作った“R-18映画”
夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2013.04.26 07:00 最終更新日:2016.10.12 13:39
ゆとり教育を推進し、「ミスターゆとり教育」と呼ばれた元文科官僚の映画評論家・寺脇研氏(61)が、映画『戦争と一人の女』(R-18指定)を初プロデュースした。原作は坂口安吾。元娼婦の主人公を演じるのが江口のりこ、相手の作家が永瀬正敏だ。
「観たい映画がないから、自分で作った」と寺脇氏は言う。映画は、戦争に翻弄される男女の姿を性を通して描いたものだが、SEXシーンが何度も続き、レイプ場面も多い。この内容は、元文科官僚という肩書きとはそぐわない。
「僕が観たい映画とは、東大へ入るために上京した当時、よく観ていた日活ロマンポルノなんです。私の青春はロマンポルノとともにあったといってもいい。ところが、いまはそうしたエロに正面から向き合った映画がなくなった。代わりにAVがあるけれど、そこにはストーリーもドラマもない。つまりロマンがないんです」(寺脇氏・以下同)
彼がこの映画にかける情熱は、文科省の退職金をつぎ込んだという話からも窺える。
「製作費はだいたい1200万円ぐらい。文科省の退職金と有志からの出資でまかないましたが、映画作りに情熱を注ぐ仲間たちの姿は、’70年代のATG(注)の時代を思い出します。ロマンポルノに加えて、ATGも私の青春でした。あの時代の熱気をもう一度取り戻したいんです」
エロ女王の壇蜜でさえまだ観念的で「勃ちゃしない」という寺脇氏に、今回の映画で、もっとも官能的なシーンを推薦してもらった。
「中国の戦場で不能になった男が妻とSEXしようとするが、どうしてもできない。そのとき、貞淑な妻が言うんです。『お願いです。手でしてください』。男の手が着物の裾を割って入り、妻は子供に聞こえないように着物を噛んで快感に耐える。そのときの声と表情がいいんです」
すでに次回作も構想中という。
注)ATG=日本アート・シアター・ギルド…60年代から80年代にかけて活動した映画会社。低予算で商業主義を排した芸術作品を多数製作し、日本の映画史に多大な影響を与えた。
(週刊FLASH 2013年5月7日号)