「女性による女性のための官能」(ジョジョカン)をキーワードに、今年9月13日に女性向け官能小説レーベルの『フルール』が創刊された。また、女性向けAVレーベルの『シルクラボ』は女性に絶大な支持を得ているという。
そんな、女性の官能ブームをリードする『フルール』編集長・波多野公美さんと『シルクラボ』プロデューサー・牧野江里さんの2人に、最近の女性の官能ブームについて語ってもらった。
牧野「時代がよくなったんだと思います。今までも、女性は絶対に官能的なものを観たいという欲求はあったと思うんです。でもAVを観たいと思っても、レンタルや店舗に行って買う勇気はないし、通販は怖い。それがアマゾンなど、ネット通販の環境が整って、女性が求めていた観たいものが手に入るようになったからだと思います」
波多野「女性が官能を求めるようになった背景のひとつに、女性の社会進出が大きく影響していると思います。男性と同じように、結果や能力を求められるようになった。そうすると女性もストレスフルな毎日を送るようになり、ストレスを発散するサプリメント、エネルギー補給のひとつとして、官能を求めるようになったのではないでしょうか」
女性向けのAVや官能小説と男性向けでの大きな相違点とは?
牧野「基本的に男性向けのAVは、面倒くさい過程が全部省かれている。男性は『オッパイがデカい!』と思ったら=『やりたい!』ですけど、女性はイケメンがいたら=『やりたい!』になるかといったらそうじゃない。その人の人となりがあって、性的興奮に繋がっていく。男性向けは点で描くけど、女性向けは線で描く。男性が早送りしてしまう部分こそが、女性が求めている部分なんです」
波多野「女性が求めているのは男性とのコミュニケーションですよね。男性向けの官能小説は、基本、女性を性奴隷にする物語なんです。私たちが作っている女性向けのエロティック小説は、あくまでも私と彼とのラブストーリー。女性の官能はSEXだけでは成り立たない。そこに辿り着くまでの過程があってこそ、ときめきを感じることができるんです」
最後に、男性にいちばん理解してほしいところとは?
波多野「まず官能小説を読んでいる女性は、欲求不満なんだろうという考えを取っ払ってほしいです。女性の場合、性欲処理のためではなくて、ときめきたいから読むという人のほうが圧倒的に多いと思うんです。一般の恋愛小説には描かれていない、エロティックな部分をきちんと描いているのが『フルール』なんです」
牧野「一度、シルクのDVDを観ていただきたい。それで、こんな世界もあるんだということを知っていただきたい。女性はこういうことをされると嬉しいんだ、へぇーっと。まずは、そこを心にとめていただけるだけでも嬉しいです。SEXまでの過程を面倒くさいと言って省かなければ、女性が喜ぶSEXができると思います」
(週刊FLASH 2013年11月26日号)