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5000冊のコレクションを持つ男ほかマニアが語るビニ本愛
夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2018.10.20 20:00 最終更新日:2018.10.20 20:00
1970年代末から1980年代初頭に一世を風靡した、男のロマン「ビニ本」。女性の局部が無修正で見えるエロ本のことで、立ち読み防止のために本をポリ袋に入れたのが言葉の由来である。
今回は愛好家3人が、ビニ本愛を語った。フリーライターの藤木TDC氏が言う
「初めてビニ本の実物を見たのは大学受験で上京したとき。ヘアに関しては、雑誌『ウイークエンドスーパー』(セルフ出版)で心構えはできていたつもりでしたが、緊張して吟味できず、手に取ったものを買いました。中身はおばさんでヘコみましたね」
だんだん目が肥えてきた藤木氏のお気に入りになったのが、アイドル美少女・寺山久美の『mickey mouse』だ。
「1980年くらいのものですね。後期ビニ本は実用的になりますが、このときはまだ意味のないポエムがあったりしていいんですよ。『白い文鳥 まだ鳴かないわ』とかね。
それまではヨガり顔ばかりだったモデルが、1981年ごろはアイドルのように、にっこりと微笑みだす。現場も彼女たちを盛り上げようとしている。このころの作品が好みです」
ビニ本モデルは、モテない男たちの希望だったという。
「だって、テレビのアイドルと違い、彼女たちは微笑みながら股を開いてくれるんですよ」
アダルトメディア研究家の安田理央氏はどうか。
谷村新司がラジオでビニ本愛を語り、横浜銀蝿が『ビニボン Rock’n Roll』を歌う……。1980年ごろの第1次ビニ本ブームを、浦和の中学生だった安田氏は覚えている。
「当時の僕は中学生だったので、二見書房のビニ本モデル新書をこっそり読むのが精いっぱいでしたが……。
第2次ビニ本ブーム(1983〜1984年)のころの神保町の書店は“女性器だらけ”。表紙からして、丸見えだったんです。誰でも入れる場所が無法地帯だったのは、あの時代だけでしょうね」
1981年に流行した裏本に対抗し、1983年以降には、薄い布を性器にかけただけの過激なベール本が現われた。
「特に浅田美奈子の『FANTASY』は、別タイトルの再編集版ですが、当時購入した現物をずっと持ちつづけています。彼女は19歳で、ロリ体型に幼い顔。それほど有名ではないけど、同世代のように感じて好きだったんです。
今でも古本屋にベール本があると買ってしまいます」
AV監督の斉藤修氏は、膨大なコレクションを所有している
「最初は実用するために個人で集めていました。部屋代、メシ代以外、給料のすべてを使いましたね(笑)。
その後、ライターの仕事を始めてビニ本の書評を書くようになると、出版社から送られてくるようになって、蔵書が増えていったのです」
今ではビニ本、裏本、自販機本など、5000冊を所有する。
「最近でも『もう手元には置けないけど捨てるには忍びない。でも売ることもできない』という愛好家の方からの寄贈があります。そのなかにお宝があったりします。
ビニ本の魅力は、あくまで『モロ見えはさせない』という作り手の自負ですね」
ベールの向こうには何かがのぞいていたが、その薄い布1枚がモデルや作り手を大胆にした。そんな時代があったのだ。
ふじきてぃーでぃーしー
56歳 秋田県出身 AV、風俗、盛り場などを専門とする。著書に『アダルトビデオ革命史』(幻冬舎新書)など多数
やすだりお
51歳 埼玉県出身 AV、風俗に加え、アダルトメディア論も手がける。『AV女優、のち』(KADOKAWA)など著書多数
さいとうおさむ
64歳 愛知県出身 「オレンジ通信」ライターなどを経てAV男優になる。AV監督歴は33年。
(週刊FLASH 2018年10月2日号)