「2018年のエロ業界の特徴は、AVの長タイトル化です。検索に引っかかりやすくするため、説明をぜんぶタイトルに入れるんです」(AVメーカー営業)
DVDから配信の時代へと変わりながら、試行錯誤を続けるエロ業界。だが、SEX知識人たちからは、景気の悪い話が聞こえてくる。
「2018年はコンビニからエロ本が消え、AVの審査が厳しくなった1年でした」
AV男優兼監督のにしくんがそう語る。
「先進国で唯一HIV患者数が増加しているなか、AV女優がHIV陽性まで判明した。なかでも、いちばん印象に残っているのは紀州のドン・ファンです。人それぞれ幸せの形は違うけれど、お金とセックスと愛についてすごさも寂しさも感じさせられました」
ドン・ファンとは、美女4000人を抱き、急性覚醒剤中毒で亡くなった野﨑幸助氏(享年77)の異名だ。野﨑氏には、AV監督の梁井一氏もある思い出がある。
「たまたまドン・ファンと寝たことがある女優さんがいたんです。撮影現場に和歌山県警から電話がかかってきましたね。ドン・ファンとのセックス話は故人への敬意で詳細は伏せますが、哀愁があってよかったです」
AV業界にも明るい話題はあった。
「波多野結衣ちゃん、大槻ひびきちゃんといった人気女優がデビュー10周年を迎え、おおいに業界を盛り上げてくれました。結衣ちゃんが3泊4日でセルショップをゲリラでまわり、自身の出演作品の売り上げで旅をする企画は印象深かった」(DVD店販売員)
ベテラン女優が話題をつくるなか、触れなくてもイク女・あずみひなや、天然神乳・河合あすながブレイク。なつめ愛莉などのエロTikTokも人気を呼んだ。
「TikTokは素人も過激化していましたね。2018年は、AV業界にさまざまな問題が起こるなか、一般の女性が惜しげもなくエロい姿を晒してくれていました」
AV監督のモザイクマサオ氏が語るように、一般人の「性欲ファースト」が次々と勃発していた。作家の中塩智恵子氏もこう語る。
「既婚者合コン、イケメンが女性にマッサージする店『イケモミ』など、エロを能動的に楽しむ女性の活躍が目立ちました。『ヒモ』をママ活と耳あたりのいい言葉に言い換えると、安心できるのでしょう」
AV監督のたかつきあきら氏も、素人の大胆さに驚く。
「SNSでは、裏アカウントで自らの裸身を公開する裏垢女子や、脳イキの講習会に数万円払う時代になってきましたね」
そんななか、俳優の渋江譲二が「支持しかできません」と大絶賛するのが、髙嶋政宏による衝撃の著書『変態紳士』だ。
「あれだけの地位を築いていらっしゃる大先輩のぶっちゃけ話に脱帽です。2018年は、そんなエロ、性癖を恥ずかしくないものとして曝け出す、いい意味でハードルの低さを感じた年かなと思います」
映画評論家の秋本鉄次氏も、髙嶋の “蛮勇” に拍手したいと絶賛する。
「いっそ清々しい。長澤まさみに『大人のおもちゃ』を渡したという報道も、すごすぎる。髙嶋政宏にSM映画からのオファーがあったら、すごい本格派になりそうです」
西高東低ならぬ「アマ高プロ低」の1年だった。
【2018年のエロを振り返る】
(1)ママ活
若い男性が年上女性と食事などをし、見返りを受け取ること。女性有料・男性無料のパーティにも熟女が殺到する人気ぶりだが、補導される男子高校生も。「パパ活」の対義語
(2)紀州のドン・ファン
美女4000人に30億円を貢いだと豪語し、著書も出していた野﨑幸助さんが5月、怪死。捜査が混迷するなか、55歳年下の妻のAV出演発覚などが報じられ、注目を集めた
(3)変態紳士
髙嶋政宏が10月に刊行した、SM愛を赤裸々に語った著書の題名。
「有名芸能人が変態ぶりをカミングアウトできるなんて、とても素敵な世の中になった」(AVメーカー役員)
(4)触れなくてもイク女
AV女優・あずみひな(10月に永井みひなから改名)のキャッチフレーズ。「唇でイク女」「脳イキができる女」とも。演技では不可能な過敏反応に、出演作品は軒並みヒットしている
(5)出演強要問題
「望まぬAV出演を強要されたことが相次ぎ表面化。
「問題があるのは事実で改善すべきだけれど、今のやり方は臭いものに蓋をして隠すだけに感じる」(AV監督・にしくん)
(6)しみけん&はあちゅう事実婚
7月、作家のはあちゅうさん(32)が、トップAV男優のしみけん(39)との事実婚を公表。ブログ「旦那観察日記〜AV男優との新婚生活〜」を開設し、2人の生活をコンテンツ化
(7)AV女優がHIV陽性
10月、性感染症検査を受けた女優がHIVに感染していたことがわかり、大騒動になった。「業界人として避けては通れない問題でした」(AV監督・たかつきあきら氏)
(8)天然神乳
2018年デビューした河合あすなのキャッチフレーズ。デビュー作はamazonアダルトランキング、FANZAなどで初登場1位。グラドル時代はAbemaTVでHカップがポロリした
(9)エロTikTok
「TikTokは規約上、露骨なエロはNGですが、なつめ愛莉ちんゃは業界内外でも人気。素人女性のなかには、消されること覚悟でエロネタを上げる方もいます」(AVメーカー宣伝)
(10)パラタイン喉腺
平成最後に発見された“新性感帯”として話題に。喉の奥、口腔の上壁である口蓋のでこぼこした部分には神経が多数通っており、「喉イキ」する女性も
(週刊FLASH 2018年12月18日号)