夜バナ
女医が教える「医学書エロスの世界」クラミジアは口淫から感染
医療関係者だけが読んでいる高額な医学専門書には、脚色のない真実の「性知識」があった。専門用語から香り立つ「性の奥深さ」を、東京都内の大学病院婦人科に勤務する、高橋怜奈医師の解説を交え、紹介する。
●専門書:
『性感染症 STD 改訂2版』(南山堂)
田中正利(福岡大学教授)編
定価4900円(税別)
《性感染症(STD)はヒトの歴史と共に始まり、今日まで絶える事なく続いている》と前書きにあるように、性感染症の現状と診断法を網羅した1冊だ。
「性感染症を診る機会のある医療者は必読です」と、高橋医師も推薦するこの書の注目すべきところは、性風俗に従事する女性のSTDを、細かく解説している章である。性風俗店を利用する男性も熟読したいところ。
「業態別の説明が、非常に詳しい。業態を知らないと、どのような検査をするべきかがわかりません。画期的です」(高橋医師)
その章には、「ソープランド」「エスコートクラブ」「チョンの間」「立ちんぼ」「援助交際」「おさわりパブ」など、13業種が列挙されていて、編者の田中氏は《これほど性産業が盛況な国は、世界に類を見ない》と驚いた様子で記している。
そして田中氏が着目するのが、口によるサービスをおこなう風俗従事者の存在だ。《このオーラルサービスこそが性感染症のなかで症例数の最も多いクラミジア・淋菌感染症の最大感染要因》と断言。
うがい薬などの口腔用ケア商品は、《細菌量の減少には効果があると考えられるがSTDの予防効果があるかどうかは定かではない》と指摘。
その結果、《ヘルス従事者のほうがソープランド従事者に比べ咽頭クラミジアと淋菌の陽性率が、明らかに高かった》という。
東京上野クリニック・上野本院の吉江秀和院長は、「オーラルセックス時にもコンドームを使用することが理想的ですが、現実的には難しい」と語る。
感染拡大の対策は、もちろん男女ともに治療することである。本書には、《連絡可能な客には感染を知らせるように指導すべき》とある。現実的には、なかなか難しそうだが……。
一般向け役立ち度★★★★☆
(週刊FLASH 2019年3月5日号)