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オカモトと相模ゴム「コンドーム」0.01mmの攻防戦

夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2019.05.07 20:00 最終更新日:2019.05.09 15:23

オカモトと相模ゴム「コンドーム」0.01mmの攻防戦

 

 日本のコンドーム市場の歴史を紐解けば、現在の業界1位と2位にたどり着く。圧倒的な商品ラインナップで他の追随を許さない「オカモト」と、ポリウレタンの先駆者「相模ゴム」だ。

 

 オカモトの原点ともいえる「日本ゴム工業(株)」、相模ゴムの前身である「アサヒラテックス化学研究所」は、ともに創業が1934年1月なのだ。まさに現在まで続くライバル関係のスタートだった。

 

 それ以前は、個人製作の粗悪品が多かった、日本のコンドーム。2社がほぼ同時に、良質のコンドームを生み出す天然ゴムの配合に成功し、大量生産のシステムを構築して、日本のコンドーム業界に革命を起こしたのである。

 

 次に業界に転機が訪れたのは、高度経済成長期の真っただ中、1969年のことだった。

 

「薄くて丈夫で柔らかい」をキャッチコピーに、「スキンレス・スキン」コンドームを発売した岡本理研ゴム(当時のオカモト)が、大々的なキャンペーンを実施したのだ。

 

 オカモトの医療生活用品マーケティング室、林知礼マーケティング課長に聞いた。

 

「それまでコンドームは訪問販売や自販機、薬局でひっそりと売られていたなかで、メーカーである当社が表に立って積極的にプロモーション販売を展開しました。

 

 今よりずっとネガティブなイメージの強かったコンドームですから、各方面からお叱りも受けたようですが、販売数は飛躍的に伸びたんです」

 

 これをきっかけにオカモトの独走が始まった。

 

 一方の相模ゴムも手をこまねいていたわけではない。同社ヘルスケア営業本部、山下博司営業企画室長が話す。

 

「手術用の手袋を、ポリウレタンで作れないかという相談を受けて、『その伸縮性、強度はコンドームに応用できるんじゃないか』と発想したんです」

 

 奇しくも前回の東京五輪が開催された1964年だった。研究はスタートしたのだが一時頓挫し、本格的に開発を再開したのは1991年だった。

 

 そして長野五輪の開催中だった1998年2月16日に、日本初のポリウレタン製コンドーム「サガミオリジナル」を発売した。同商品が選手村配布用に提供されていたのである。

 

 その後、オカモトもポリウレタン製を発売し、現在は2社ともに世界最薄0.01ミリの世界で競い合っているのだ。

 

 相模ゴムの山下室長は、先駆者の矜持をこう滲ませる。

 

「コンドーム全体の販売数や売り上げはオカモトさんにおよびませんが、日本で初めて0.02ミリ台のコンドームを上市した企業として、『薄さ』についてはこれからもこだわっていきたい。五輪はその技術を世界に知ってもらうチャンスなんです」

 

 対するオカモトは絶対王者の宿命と不安を覗かせる。

 

「『他社ができることで、当社ができない』という選択肢はないんです。同時に、そんな商品を出されたらどうしようと常に考えています」(林課長)

 

 それでは0.01ミリの先にある世界は? 相模ゴムの山中千秋製品開発次長は言う。

 

「避妊や感染症予防のために『使わなければ』じゃなくて、『使いたい』コンドーム、男女ともに着けたほうが気持ちいいコンドームができたら、宣伝しなくても売れますよね」

 

 これにはライバルも同意。

 

「『バイアグラコンドーム』のように補助機能がついているとか……。『ナマより気持ちいいコンドームを作る』というのが私の永遠の夢です」(林課長)

 

 ライバルがいるからこそ世界記録は生まれる。切磋琢磨して、セックスレスの妻も抱きたくなるような「夢のコンドーム」を製品化してほしい。

 

(週刊FLASH 2019年4月16日号)

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