夜バナ
漫画家・遊人が告白「エロはマーケティングで描き始めた」
夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2019.05.14 20:00 最終更新日:2019.05.14 20:00
「男の本性」「売れるため」「表現への挑戦」−−。さまざまな理由で「エッチ漫画」に取り組み、伝説を残した創造者たち。18禁の成人誌ではなく、一般誌を舞台に、斬新な表現を追求してきた漫画家・遊人に、闘いの歴史を聞いた。
「30歳手前のとき、漫画家として突き抜けるため、絵柄を過激なエロに振り切ったんです」
女子高生を主人公としたエッチな漫画『ANGEL』や『校内写生』で人気を集めた遊人。著作の累計発行部数は4000万部に達し、彼のイラストは、風俗店の看板やピンクチラシに無断使用されまくった。
「劇画タッチで描いていた、自分のコミックが売れずに、返品される光景を目のあたりにしたんです。『売れなければダメだ』と、売れる絵柄を研究して、画風を変えていったんです。
あだち充先生や高橋留美子先生のキャラクターの顔のバランス、パーツの配置などを参考にしましたね」
絵柄も物語も、すべてマーケティングによるものだった。
「僕なりのリサーチというか。AV業界を舞台にした、みやすのんきさんの『冒険してもいい頃』が売れてると聞いて、読んでみたら性器描写もあって。『これがOKならやってみよう』となりました。
ちょっとエッチなラブコメが流行っていた時期なので、完全なビジネスとして、売れそうなものを描こうとしたんです」
アイコンとしてのキャラクターの確立も意識したようだ。
「心がけていたのは、必ずHのシーンを入れること。たんにパンツが見えるくらいでは、読者は満足しなかった。そして、たんに『美少女』が登場するのではなく、彼女たちが『女子高生』であることにこだわりました」
しかし、連載開始から1年以上がたった1990年、『ANGEL』が突然、有害図書に指定された。
「『ANGEL』5巻の単行本は、初版50万部の決定通知が来ていたのに、発売中止となってしまいました。でも、版元を変えて成人向けコミックとして発売したら、飛ぶように売れました」
CGの導入も早かった。
「新しいビジネスモデルをいつも模索しています」
現在も、コワーキングスペースを活用し、ウェブ上で共同作業をおこなうなど、時代に合わせた執筆スタイルを実践中だ。
「自分の作品が時代に合わないなら、自分を変える。それができるかどうかが大切です。若い時期に学んだことだけでなく、自分を変えながら常に勉強を続けたいですね」
ゆうじん
1959年生まれ 1979年デビュー。2019年に入ってからツイッターを始めた(@kunimituyuji)
(週刊FLASH 2019年4月23日号)