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『うそつきパラドクス』の夫婦漫画家「エロは性教育の一翼」
夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2019.05.16 20:00 最終更新日:2019.05.16 20:00
「男の本性」「売れるため」「表現への挑戦」−−。さまざまな理由で「エッチ漫画」に取り組み、伝説を残した創造者たち。18禁の成人誌ではなく、一般誌を舞台に、斬新な表現を追求してきた夫婦ユニットの漫画家・きづきあきら+サトウナンキに、挑戦の歴史を聞いた。
「『うそつきパラドクス』の3巻では、単行本一冊ほぼすべてをHのシーンにしました。別れを惜しむ悲しみと、ようやく本心で関係が結べる喜びを、スポーツマンガの試合のシーンのように(笑)、じっくり一巻ぶん、描きました」
性描写は、あえて過激な挑戦もするという。
「別の作品では、あるキャラクターが、みずから傘を使って、処女喪失するシーンを描きました。掲載の是非を編集部で協議していただき、そのままの作画で掲載していただくことができました」
また、公園や観覧車の中、ビデオ店でなど、作中のHシーンはさまざまなシチュエーションで描き分けられている。
「同じ2人のHを、毎回、飽きさせずに魅せる工夫をしました。『会社の同僚との浮気』という設定が生きるようにすることと、『AVのようなHを』という担当編集者からの意向を受け、それを日常のなかにどうやって持ち込むか、いろいろと工夫しましたね。
複雑な体位を、さまざまな見せ方ができるよう、いろんな工夫をしています。まったくエッチじゃない画像を参考にしたり(笑)」
エロの表現規制が厳しくなるなか、一般誌で性表現を続けていく理由を聞いた。
「性の描写は、人間の感情や関係を、象徴的に表現したものと、とらえています。コミュニケーションのひとつの手段として、私たちの物語には、欠かせない要素です」
作り手側として、「議論を通じて自主的に規制するのはいいが、法律で規制してはいけない」と言う。
「私たちは、性描写にまったくふれずに成長するのは、逆に不健全だと考えています。学校で医学的、倫理的な性教育も必要ですが、親や先生には言えることにも限界があると思うんです。
自力で興味関心を発揮し、情報を取捨選択しながら学んでいく、アンダーグラウンドの性教育も必要だと思います。漫画などの創作物は、その一翼を担っていくものだと、自負して描いています」
両氏のエロ描写への「挑戦」はまだまだ続く。
きづきあきら+サトウナンキ
2006年より活動する夫婦ユニット。「最後まではしない」というルールのもと、職場内での浮気の恋が心理描写たっぷりに描かれる。2009年から2012年まで連載。現在は電子雑誌「ハレム」で同作の続編を連載中
(週刊FLASH 2019年4月23日号)