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平成中期エロ漫画史「モロ見せしない表現が芸術的」と研究家
夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2019.05.18 20:00 最終更新日:2019.05.18 20:00
「男の本性」「売れるため」「表現への挑戦」−−。さまざまな理由で「エッチ漫画」に取り組み、伝説を残した創造者たち。18禁の成人誌ではなく、一般誌を舞台に、斬新な表現を追求してきた、闘いの歴史とは。
平成の31年間は、エッチ漫画の激動の時代だった。『エロマンガ表現史』(太田出版)の著者で、美少女コミック研究家の稀見理都氏が解説する。
山本直樹を筆頭に、成人漫画から青年誌の一般漫画に転身する作家が増加した。成人誌と青年誌の境界が、あいまいになってきたのだ。
「知られている作家では『ぼくらの』の鬼頭莫宏、『GTO』の藤沢とおるなども、エロ系出身です。
平成中期以降、漫画家たちは、エロ漫画の文法を積極的に青年誌に取り入れ、エロ表現を発展させていきました。それゆえ、エロ漫画、一般漫画ともに画力のレベルがグッと上がったのです」
一方、少年誌はどうか。
「乳首を見せられない少年誌では、チラリズムの創意工夫が発展しました。桂正和がパンティ描写にこだわり、『いちご100%』の河下水希は、パンチラと薄い着衣で体のラインを見せました。
そこで大革命を起こしたのが矢吹健太朗(作画)の『ToLOVEる』です。性器を絶対に見せないで、読者に想像させるんです。
たとえば、主人公はお風呂場で、女のコの後ろに立っています。女のコの股の間には、水道の蛇口があります。その蛇口の鏡面に、よく見てもわからないぐらいの、股間の筋が描いてあるのです。このような表現によって、矢吹は少年誌のエロを、芸術にまで高めました」
次のページでは、平成中期のエロ漫画史に革命を起こした作品を紹介する。