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加納典明、逮捕劇の裏話「検事からヘアの撮り方を学んだ」
夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2019.05.22 20:00 最終更新日:2019.05.22 20:00
昭和のヌードには、どこか「悲壮な覚悟」が漂っていた。ところが平成になると、一流女優、アイドルまでもが明るく裸身を見せるようになった。初期にバブルが崩壊し、閉塞感があった「平成」の30年間において、ヘアヌードはつかの間の癒しだった。
「ヘアヌードブーム」を牽引した代表的な写真家の一人が、加納典明氏だ。すべての写真を撮影した『月刊ザ・テンメイ』は、1993(平成5)年4月号から、24冊を刊行。各号60万~80万部だったので、約1500万部以上の売り上げを記録したことになる。
「創刊号は中島宏海、2号めは白都真理……。最初のころは名のある女優がモデルだったんだよ。だけど、おっぱいと尻をしっかり写せれば、名前や顔は関係ないことに気づいた(笑)。
それで、素人やAVのコがメインになっていったんだけれど、そのほうが自由度が高いから、過激な写真を遠慮なく撮れたんだ。それが、成功した理由だと思う。自分でも『ヌケる写真を撮れた』と手応えがあったしね」
ただ、過激化する同誌を、警察は見逃さなかった。1994(平成6)年9月号に「女性器そのものに焦点が合っている」と警告。
ところが、12月発行の総集編写真集『きクぜ!2』にさらに過激な写真を掲載したことで、翌年1月に「わいせつ図画販売容疑」で摘発され、2月に加納氏は逮捕されてしまったのだ。
「摘発されたとき開いた記者会見では、徹底抗戦を宣言したんだ。だけど、いざ逮捕されたら、版元の社長やデザイナーに、『社員や家族のために、今回は堪忍してくれ』と泣きつかれた。
わいせつ図画販売容疑だったけど、俺は撮影したフィルムを全部、版元に渡していて、選んでいなかった。それで、2人は主犯だと脅されていた。
大見得切った手前、非を認めるのは男が立たないが、そのときは『仲間を守ろう』と思った。いま考えると、人生の大間違いだった」
略式起訴で、罰金50万円。だが、取調べで明らかになったことがあった。
「最後の日、検事が医学書のイラストで説明してくれたんだ。ヘアはぜんぜんOK。恥丘の盛り上がり、土手の中央あたりから肛門を楕円で囲って、そこがダメだという。そうとわかって、撮りやすくなったところもあったね。
そのことで、『俺が警察からヘアの “お墨付き” を得た』と言われることもあるけど、『いや、あれは検閲ではなかったか?』と、いまも考えているよ」
2017年には映画コメンテーターでタレントのLiLiCoのヘアヌード写真集を撮影し、その後も過激な撮影をおこなう加納氏。ヘアヌードへの情熱は、まだまだ続く。
かのうてんめい
1942年生まれ 名古屋市出身 1967年に「平凡パンチ」のヌードグラビアでデビュー。以後、写真界の第一線で活躍。4月には銀座弥栄画廊にて個展「ピンクの犬」を開催した。また、同作品を六本木ミッドタウン21_21 DESIGN SIGHTにて開催中の「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」に出品中(6月30日まで)
(週刊FLASH 2019年5月7・14・21日合併号)