夜バナ
55歳300人切りオヤジ、キャバクラで女の子を落とせるか(4)
夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2016.05.21 21:05 最終更新日:2016.10.12 13:10
キャバクラで延長し、3人目についた、みなきさんを指名した。
僕はいままで、最初の日はとりあえず様子見にして、延長はしないルールにしていた。当然指名もしない。今回は、初めてこのルールが崩れた。
実は、もうひとつ崩れたルールがある。キャバクラは安い開店時に入るのが鉄則だ。3000円くらいで1セット(50分)いける。3000円で3人の女の子としゃべり、お気に入りを見つけるまでこれを繰り返す。
3回通えば9000円で9人と話ができる。1人1000円で品定めし、ここから2~3人を選ぶようにすれば、費用対効果は最大だ。このマイルールも、今日は初めて崩れた。それだけ、超美人のみなきさんが気になったというわけだ。
さて、みなきさんに対し、容姿・センスではとてもかなわない。そこでオヤジの意外性でチャレンジだ。最初、普通のオヤジを演じ、次にエッチなオヤジを演じ、最後に得意分野をちらつかせて意外性で気を引く計画。
負けてもともと。さっそく話をつなげる。
「最近仕事が忙しくて……」
「何の仕事されているんですか?」
「HPなんかを作ってるんだ」
もちろんうそだ。パソコンを使う仕事はしているが、そこに少し勉強して知識をつけて、架空の仕事をつくりあげているということだ。
「へえ~」
「へえ~って、どんな仕事をしているように見えた?」
「会社員とか?」
「ウソでしょ。本当は公園で寝てる人くらいに思ってなかった?」
笑ってくれた。よし、いい流れだ。
「難しそうな仕事ですね」
「フォトショップやイラストレーターなどの技術的なことより、色のグラデーションが難しいんだよ。同系色をどう組み合わせるかだ」と専門用語を出してみる。これくらいで十分だ。
話題を変えよう。
「最近は忙しくて、テニスをする時間がないからストレスが溜まってるんだよ」
「テニスするんですか」
「相撲の方が似合ってる?」 ―笑うー。
「いまサーブアンドボレーを練習してる」
「難しいんですか」
「国体選手だったから大丈夫だよ」
「へえ~すごい」
テニスは趣味程度だが、ボクシングで国体に出たことがある。国体の話になっても平気だ。
ボクシングより、テニスのほうがイメージがいい。テニスの知識とボクシングの国体の体験を合わせれば、架空の現実を作り上げられる。
つまり、見破られないウソだ。男と女はだましあい。その時間を楽しむことの方が、真実より大切だ。
これまで意外性をアピールしてきた。効果はあった。笑いも取れた。ただ、みなきさんにとっては知らない世界のことで、「へ~」と言う程度だ。
ここからはこの意外性を体験させることにする。スマホだ。スマホは共通の題目だ。共通の題目で意外性を発揮すれば、効果は抜群に大きい。
「このゲームおもしろいよ」 「これ機能便利だよ」「このアプリすごいよ」 「この裏技知っている?」
……などとおいたてまくる。「へ~」「スゴイ」「何これ」「教えて」と目をくりくりさせてくる。よし、いい流れだ。
そろそろ時間だ。今日の最後の仕上げをする。意外性を体験させたところで「また指名していいですか」と、以後は敬語で話す。
ベタなオヤジ、エッチなオヤジからのギャップを最大限に感じさせるための詰めだ。
「はい」
「ありがとう。うれしいです。出勤の日はいつですか」
「火曜日と金曜日です。土日はたまに出ます」
「わかりました」
「電話したほうがいいですね。絶対この日は来ない日はありますか」
「水・木です」
「ではその日は電話しません」
絶対来ない日を聞いておくのは、今後の展開で必需なのだ。 店員が来た。
「今日はありがとう。また来週来ます」
「待ってます……」(続く)
<著者プロフィール>
山本吾郎 1960年、名古屋市生まれ。大学を卒業後、SEとして活躍。業務先の化粧品会社で、女性に囲まれる楽しい毎日を送る。昼間は女性だらけでムラムラしたが、社内での女性トラブルはうわさが早く、その気持ちのはけ口をキャバクラに向けた。現在は、老後の生活費をためるため、多くの若者にキャバ嬢攻略法を伝授している。