●セックスしないからこそ維持できる関係
「友達以上、恋人未満」は20年以上前の車の宣伝コピーだが、男女の微妙な関係を言い得て妙でもある。以前は好んでなりたいと思う立場ではなかったが、今は違う。草食系の増加にともなってか、「友達以上、恋人未満」の新しい形を生み出して楽しんでいる若者が増えている。
その代表が「キスフレ」「ソフレ」だ。「キスフレ」とはキスはするがエッチはしない異性の友達。キスの程度はカップルや状況により異なり、濃厚なものもあれば挨拶程度の軽いものもあるそうだ。
「ソフレ」とは添い寝をするだけの異性の友達。こちらはキスもしなければ手も握らないこともあるという。いずれもセック スには至らない。というより、そもそも初めからセックスを考えていない男女の関係であり、だからこそ維持できるという。
バーチャル恋愛の感があるが、女性の3 人に1 人は「キスフレ」がいるという調査結果もある。「マイナビウーマン」によれば、「ネットマーケティング」社のアンケート調査で、58.3% もの女性が「キスフレがいたときに彼氏がいた」と答え、63.3% がキスフレ関係を「都合がいい」としている。
「ソフレ」については、56.3%の女性が彼氏でない人に「添い寝されたいと思うこともある」と答え、79.9%がその理由を「さみしいから」と答えている。
一方で、「キスフレ」や「ソフレ」になったことがある男性の74.4%が、「そこから彼氏になることがあると思う」と答え、70%が「それ以上の関係になることを望んでいる」としている。男はただ我慢しているのか、それが優しさなのか、この調査では男女間の意識の差が目立つ。
●観覧車は頂上でキスするもの?
「据え膳食わぬは……」などといった時代から、本当に遠くまで来たものだ。かつてキスは男女の愛の帰結であり、さらに深い関係に至る始まりでもあった。
しかし昔も今もキス観が変わらない部分がある。「観覧車でのキス」だ。今も観覧車はムードを作る代表的な装置のひとつ。映画『エデンの東』(1955年公開)では、主人公役のジェームズ・ディーンが観覧車で印象的なキスシーンを演じていた。
富士急ハイランドの「20代の遊園地と恋愛に関する意識調査」によれば、観覧車でキスをした経験のある男女は43.7%に上っている。2人がどの地点でキスをしたかは、1位が「頂上で」60.9%、以下「頂上に着く前」30.7%、「降りる前」5.7% だっ た。
頂上は気持ちもいいし誰にも覗かれないから当然だが、頂上前はやはり我慢ができなかったものか、降りる前はチャンスを逃すまいと意を決したものか、あれこれ想像すると微笑ましい。
「先週末は遊園地で遊んで、帰りがけの観覧車でちょっとキスしました。関係? いや普通の友達ですよ」
4月に入社した新入社員たちは、ランチタイムにそんな会話で盛り上がっているのかもしれない。
(週刊FLASH2015年5月5日号)