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なぜ日本は「選挙権18歳」なのに、「成人20歳」なのか

ライフ 投稿日:2016.10.05 20:00FLASH編集部

なぜ日本は「選挙権18歳」なのに、「成人20歳」なのか

中西祐介/アフロ

 

 今年7月10日の参議院議員選挙から、18歳選挙権が適用されている。選挙権年齢の改正は、終戦直後の1946年に25歳以上から20歳以上に引き下げられて以来、約70年ぶりだ。

 

 ところで、なぜ選挙権が18歳に引き下げられたのか? 大きな理由のひとつは2007年、前回の安倍内閣時に成立した憲法改正国民投票法にある。

 

 この投票権を18歳以上と決めた。国会議員の選挙が20歳以上で、国民投票が18歳以上では整合性が保てない。

 

 もうひとつは、日本が世界基準から取り残されていたことだ。マレーシアやシンガポールは選挙権年齢が21歳から、アラブ首長国連邦は25歳からであるが、世界191の地域・国の約9割が18歳以上に選挙権を付与している。

 

 イギリスなどは早くも1969年に21歳から18歳に引き下げた。1960年代後半はベトナム反戦や大学紛争など世界的に若者の政治意識が高まっていた時代である。日本でも若者の政治意識が高かったが、1960年代、1970年代をスルーしてガラパゴス化した。

 

 国にはそれぞれの事情があるから世界基準に合わせることはないが、オーストリアやブラジルではすでに16歳以上に選挙権を与えており、イギリスやドイツなどでも16歳への引き下げが検討されている。

 

 今回新たに選挙権を得た18、19歳の人口は約240万人、有権者の約2%だ。新制度で若者の政治意識が高まればいいが、18歳選挙権は投票率を低下させるだけだという冷めた見方もある。

 

 事実、これまでの選挙における20代の投票率はほかの世代と比べ圧倒的に低い。2014年におこなわれた衆議院議員選挙の投票率は52.7%と戦後最低の投票率だったが、なかでも20代の投票率は32.58%と最低だった。
 

 ちなみに2016年7月10日の参院選では、18歳は51.28%、19歳は42.30%で、20代、30代より高かった。

 

●では、成人年齢は?

 

 たばこは、1900年に「未成年者喫煙禁止法」が制定され、18 歳未満に対して禁止された。そして1947年の民法改正以降、20 歳未満が禁止に。

 

 お酒は「未成年者飲酒禁止法」が制定された1922年以降、20 歳未満に禁止されている。日本では満20歳=成人が民法で定め
られている。唯一の例外は天皇、皇太子、皇太孫(こうたいそん)の18歳である。

 

 したがって18歳選挙権は、成人年齢との二重構造を生み出す。国民の最も重要な権利である参政権を与えた以上、成人年齢も諸外国と同じように18歳に引き下げるべきだという意見が出るのも当然だろう。

 

 満20歳を成人としたのは明治以降であり、それ以前は元服(女性は古くは裳着) をもって大人とした。年齢的には12~16 歳ぐらいである。

 

 医療関係では小児科と内科の境目は一般的に15歳前後である。
薬なども用法・用量の欄には「成人(15歳以上)」とあるように成人の規定は一様ではない。

 

 ドイツでは1970年までに18歳選挙権を実現させたが、成人年齢を同一にするのに5年を要した。日本の場合、成人年齢を引き下げるためには200本以上の関連法案を改正する必要があるという。しかし、早晩ドイツと同じ道をたどることだろう。

 

 さて、公的な選挙で投票権が与えられた最低年齢である。長野県平谷村は2003年5月に合併の是非を問う住民投票をおこなったが、全国で初めて中学生以上に投票権を与えた。25人の村の中学生のうち24人が1票を投じたが、最低年齢は1年生の満12歳だったそうだ。

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