しかし、今回はチャンスがあれば、前回以上に詰めの作業に力を入れるつもりだ。距離が詰まったところで、クリンチに逃れられてしまったことも反省し、ショートパンチにもより磨きをかけている。
以上のような課題を持って日々練習をしている村田であるが、エンダムの出方によっては、これらが絵に描いた餅に終わってしまう可能性がある。薄氷の勝利を手にしたエンダムにも第1戦の反省点は多々ある。エンダムがどのようにリマッチを組み立てるのか、実際には開始のゴングが鳴るまで、誰にもわからないのだ。
そこで村田はエンダムの出方を「こう」とは決めつけず、あらゆる事態に対応すべく慎重に準備を進めてきた。いわば第1戦の反省を踏まえながらも、第1戦の内容にはとらわれすぎない、ということだ タイプの異なる3人のパートナーとのスパーリングは“臨機応変”という表現がピタリと当てはまる内容だった。
たとえば8ラウンドのスパーリングであれば、攻撃的で瞬発力のあるマーカス・ウィリス(米)と最初に拳を交える。エンダムがパンチに威力のある序盤に思い切り振ってくる、というパターンを想定してのものである。ウィリスの次はフットワークの巧みなパトリック・デイ(米)。最後に頑丈でタフなアドリアン・ルナ(メキシコ)。この順番を日によって入れ替え、エンダムがどのような組み立てをしてきても、すぐに対処できるようにした。