攻撃面ばかりに目を向けたが、ディフェンス面はどうだろう。第1戦の村田に「危ない」と思わせるようなシーンはなかった。エンダムのジャブもアッパーも、村田自身“鉄壁ガード”を脅かすようなものではなかったと感じている。その上で村田はエンダムの右を要注意パンチに挙げた。
「あの右は確かに変な体勢というか、体勢を崩しながらでも打ってくる。そこをじゃあガーッと攻めていって、(パンチを)もらったら嫌だなというのはあるので、そこはやっぱり気をつけなければいけないですよね、最後まで」
村田がガードを固めて圧力をかけ、エンダムがそれを何らかの方法でしのぎながらポイントをピックアップする、という基本構図は今回も変わらないと予想する。
その上で、村田がエンダムのパンチを食らって倒れる、というシーンはなかなか想像しづらいし、エンダムが軽快なフットワークで村田の攻撃をひょいひょいかわしていく、というパターンも、それがフルラウンド続くとは考えにくい。
村田に不安要素を探すなら、第1戦のイメージを引きずるファンの「勝って当然」という思いと、再戦の「完全決着」というキャッチフレーズが心理的なプレッシャーになる、ということだろうか。
しかし、第1戦で得た自信は、プレッシャーによるマイナスを補ってあまりあるように思える。初めて世界のトップクラスと試合し、「自分のボクシングは世界トップレベルで通用する」という自信である。加えて村田が第1戦でエンダムに「脅威」を感じなかったことも、アドバンテージになるのではないだろうか。
心技体を総合して考えて、村田は優位な立場にある、というのが本稿の結論だ。ただし、何が起きるかわからないのがボクシング。両雄の一挙手一投足を、息をのんで見守りたい。
22日の試合には、トップランク社のボブ・アラム氏も来日して、村田の試合を観戦することになった。大物プロモーターの来日は、村田への期待がいかに大きいものか窺わせる。 決着のゴングが迫る。