そして、村田が勝利への手ごたえを感じるまでに時間はかからなかった。
「このままいったら(エンダムは)あきらめるかもしれない。3、4ラウンドだと思いますけど、ジャブで嫌な顔をしていたし、スタミナもゼーゼーしていて、このままチャージし続けたらいけるかもしれないと思いました」
エンダムは4回に入るとガードが下がり、村田の右を食らうようになる。ジャブへの反応も悪くなり、バランスを崩して倒れこむシーンも。村田は言葉通りチャージを続け、ジャブ、右ストレートを的確に当て、6回には右ストレートでエンダムのヒザを折った。そして7回も優勢に試合を運ぶと、その回終了後のインターバルで、エンダムがおもむろにグローブを外し始めた。会場を埋め尽くした8,500人のファンは一瞬何が起きたかわからなかったが、エンダムのギブアップが判明するや大歓声。
グローブをロープに叩きつけて喜びを表現した村田の表情が崩れ、涙が頬を伝った。
村田は7回終了TKO勝ちでエンダムに雪辱を果たしたのだ。
7回までの公式スコアは69-64、70-63、68-65。ジャッジ1人が2ラウンドをエンダム、もう一人が1、2ラウンドをエンダムに与えたが、試合を終えての印象は、村田のワンサイドとも言える内容だった。
「あきらめない選手だと思っていましたが、5、6回に効かせて、ジャブも当たっていましたからね。ジャブって軽いと思われるかもしれないけど、当たり続けると意外に危ない。だからもしかしたら、というのはありました」