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歯磨き嫌い「吉田戦車」いまは2日に1回は歯間そうじ

連載FLASH編集部
記事投稿日:2017.11.01 20:00 最終更新日:2017.11.01 20:00

歯磨き嫌い「吉田戦車」いまは2日に1回は歯間そうじ

 

 医療機関にかかることも、医薬品や医師の診察、治療技術を買っているということであり、りっぱな買いものだろう。できれば買いたくないが、人間、ガタがくるときはくる。

 

 久しぶりに歯医者に行ってきた。「毎年メンテナンスを」といわれていたのだが、日記を検索すると、もう4年もたっていて、さすがに間があきすぎた。これといった不具合があるわけではなかったが、重い腰をあげた。

 

 1回目、歯石の除去などをして2950円。

 

 その数日後、実家で炒り黒豆を水飴で固めた菓子を食べたら、アメの粘着力で、むかし治療した奥歯の詰めものを持っていかれた。

 

「入れ歯の人間がなぜこんな菓子を買う!」と両親に文句をいったが、無警戒にガリガリ食べた自分が悪い。

 

 2回目、奥歯の穴を仮ふさぎ。前歯に軽い虫歯が見つかる。2400円。
 3回目、麻酔をして前歯の治療。1930円。
 4回目、奥歯のかぶせものの型とり。1860円。
 5回目、奥歯にかぶせものをかぶせて、治療終了。2760円。

 

 計、1万1900円。合ってるか?

 

 4年分と思えば安い気もするが、毎年診てもらっていれば虫歯などできなかったかもしれず、けずられた歯の分だけ損をした。

 

 私の母は歯科技工士だった。

 

 個人で開業していたわけではなく、歯科医院に長年勤めていた。私も幼いころその歯医者に出入りして、畳敷きの待合室でマンガを読んだりしていたものだ。

 

 それほど歯科医療に身近な環境にいながら、私の歯は幼少時から常にボロボロであり、虫歯の痛みと治療の痛み&恐怖にはさんざん悩まされた。

 

 理由は明快で、歯みがきをちゃんとしなかった。

 

 母に「なぜプロのくせに歯みがきをちゃんと教えてくれなかったのか」と文句をいうと、「プロといっても、入れ歯作りのプロだから」「昔はまだ、正しいブラッシングが確立されていなかった」などと開き直るのだった。

 

 これは自分で身を守らなきゃいかんと、高校生のとき前歯の大治療をして以来、まじめに歯みがきをするようになり、時々治療もしつつ、いちおう一本も欠損させずにがんばっている。

 

 虫歯予防医学も年々進歩し、今重点的に指導されるのは「デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間そうじ」である。歯周病予防というやつだ。

 

「買いものが大好きな妻が、ジェット水流で歯と歯茎をケアする機械を買って使っているのですが、あれでもいいですか?」と、歯科医の先生に聞いてみた。

 

「使う意味はありますが、フロスのかわりにはなりません」

 

 なるほど、と反省し、めんどくさくてついサボりがちになってしまうフロッシングを、一日おきぐらいにはするようになった。

 

 歯医者では「毎日やってね」といわれたが。

 

 ともあれ、購入した貴重な虫歯予防の知識である。忘れずに使わないと損だ。

 

よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん


※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載
(週刊FLASH 2017年11月7日号)

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