新しく買った自転車に、前カゴやリアキャリアをつけないことに決めた私。
自分にとって自転車に乗るということは、「酒や野菜や猫のトイレ砂などを買いにいく」ことでもあるから、本当は前カゴがあったほうがいいのだ。
が、つけないことに決めた。
そうなると、買ったものを何に入れるか、という問題が出てくる。寒い季節ならデイパックでなんの問題もないのだが、夏はもとより春秋であっても、長時間自転車に乗れば背中はそれなりに汗で濡れるのだった。
それを軽減するためにどうするか。ブログなど読むと、スポーツ車乗りのみなさんがいろいろ工夫していらっしゃる。
●背中が蒸れない機能があるデイパックを使う。
●フロントバッグ、サドルバッグ、フレームバッグなど車体とりつけ収納を使う。
●ウエストバッグ、ヒップバッグといわれる種類のものを使う。
●メッセンジャーバッグを使う。
メッセンジャーバッグというのは、自転車で書類などを配送する「自転車便」の人が使うバッグで、機能的にはショルダーバッグと似たようなものだ。
ストラップをぎゅっと締めて背中に密着させる使い方は、ボディバッグにも近い。なんとなくリュックやウエストバッグよりオシャレとされているらしい。
持ってないので、買ってみることにした。
アウトドア系の店で1万円ちょっと。「おニューの自転車関連ならいろいろ買ってよし!」という、たいへん太っ腹な気持ちになっているようで、ためらいなく購入。
各種ポケットが充実しており、小物仕分け欲はたいへん満足したのだが……。
失敗したかもしれない。あたりまえだが、背中に密着させるので、夏場は汗びっしょりになる。そんなこと想像もしなかったのかお前は、と、自分にびっくりだ。
あと、片方の肩にだけ負荷がかかるので、とうぜん長時間乗ってると疲れる。
「顧客の急ぎの書類を運んでいるわけでもない、ただのヒマつぶしのおやじなのに……」と、つらい気持ちになってくる。
いずれも「慣れ」の範囲なのかもしれない。使い続ければストレスを感じなくなるのかもしれないが、もっと乗車経験を積むまで、しばらくお蔵入りだ。
けっきょくどうしているかというと、20年ほど前、街乗りMTBに乗っていたときに買ったデイパックをひっぱり出して使っている。かなり薄汚れてヨレヨレだが、いちおう自転車用で、レインカバーまで付属している。使ったことないけど。
背中のパッドの中央部、背骨が当たる部分は溝になっており、空気が通る仕組みである。「空気が通ってほしい仕組み」というべきか。
20~30分もこげば背中にきっちり汗はかくのだが、これはもう何を背負ってもいっしょ。「背中びしょびしょ健康法」なのだ、と考えることにした。
よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん
※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載
(週刊FLASH 2017年11月21日号)