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【数字は踊る】かみはトイレに宿る

連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.02.20 18:20 最終更新日:2016.03.14 18:48

【数字は踊る】かみはトイレに宿る

写真:AFLO

 

●世界トイレの日

 

 毎年11月19日が「世界トイレの日」であることを知る人は少ないだろう。日本では水洗トイレがごく普通で、便利な機能を備えたトイレが増えていることから世界一の「トイレ国」の評価もあるが、じつは水洗どころかトイレのない国はまだまだ多い。

 

 世界保健機関(WHO)が2012年に公表したレポートによれば、世界人口の35%にあたる25億人がトイレのない状況で生活しており、11億人が道端や草むらなど野外で排泄をおこなっているということである。

 

 またユニセフによれば、不衛生な水や屋外での排泄などが原因で、1日に約1600人の子供たちが亡くなっているそうだ。

 

 水洗トイレがあることはこの上なく幸せだ。冬になれば暖房便座のありがたみを実感する人も多いだろう。しかし、トイレットペーパーあっての水洗トイレであることを忘れてはいけない。どのくらい恩恵をこうむっていることか。

 

 1日にトイレに行く回数は人によって違うことは当然である。大もあれば小もある。しかし、いくつかのデータから1日の平均回数を割り出すと、だいたい7回くらいのようだ。すると1日にトイレットペーパーはどのくらい使用されるのか?

 

●月への往復旅行も簡単

 

 トイレットペーパーの使用量は男と女で大きく違うが、1年間の使用量から1日に使う平均の量を割り出すことは簡単にできる。

 

 経済産業省の統計によると平成24年度のトイレットペーパーの消費量は103万597tである。これを人口(1億2600万人)で割ると1人あたりの年間使用量が8.18kgであることがわかる。ここから1日の使用量を計算すると22.41gとなる。

 

 トイレットペーパー1個の重さはメーカーによって違うが、だいたい140gと想定できる。ペーパーがシングルで1個の長さが60mの場合、1gの長さは約0.43mになる。

 

 すると1日に使う長さは約9.64m(22.41g×0.43m)となる。国民1人あたりシングルのトイレットペーパーで9.64m、ダブルの場合なら4.82m使用していることになる。驚くべき数字である。

 

 多くの男性が、よほどひどい下痢をしない限り、こんなに使わないと思うだろう。しかし、誰かがどこかで実際に使っているのだ。

 

 では、日本全体で1日に使われるトイレットペーパーの長さはどのくらいになるか。シングルの場合、121万4640kmとなる。地球と月の距離は38万4400kmであるから、なんと1往復して、さらに片道の月旅行ができる長さである。地球の赤道(4万km)なら30.3周分となる。

 

 今日、トイレットペーパーはほとんど再生紙で作られているが、たとえば1リットル入りの紙パック6枚で約1個のトイレットペーパーが出来る。1tの古紙からは6000個以上のトイレットペーパーが出来るそうだ。そう思えばコピー用紙1枚、無駄にはできない。

 

(週刊FLASH 2014年3月4日号)

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