連載
【ニャイス・トゥー・ミート・ユー!】牛乳屋さんのねこ
連載FLASH編集部
記事投稿日:2018.03.03 06:00 最終更新日:2018.03.03 11:12
トヨタ自動車のお膝元、愛知県豊田市。市内にある足助地区は、江戸時代中期以降に建てられた重厚な町家が並び、伝統的建造物の保存地区とされている。保存地区内にある「足助牛乳」の母屋も、安政4(1857)年に建てられたものだ。
そんな歴史ある建物の軒先で、キジトラのまるはいつも日向ぼっこをしている。まるは生まれて間もないころ、地元で紅葉の名所として知られる渓谷「香嵐渓」で、箱に入って捨てられていたところを保護された。
「次男と長女が見つけてきたんです。目がまんまるでかわいかったので『まる』って名づけました。それからみるみる太って、一時は体重が7キロを超したこともあって。
近所の人たちからは『名前のとおりになっちゃったねえ』って言われるようになってしまいました……(苦笑)」(まるを世話する松井尚美さん・以下同)
幼いころから人見知りせず、地域の祭りがあるときは、店の前の街道を行き交う人たちをじっと静かに眺めていた。それを見た観光客の間で「かわいい!」と評判になり、SNSなどに写真が掲載されるように。
牛乳配達の仕事があるため、尚美さんたちは毎朝、4時起き。まるも家族に合わせて早起きで、配達に出かける家族の見送りを欠かさない。
朝食は、配達が終わってからだ。尚美さんは、いつも味噌汁のだしを取ったあとの煮干しを、まるにごちそうしている。ほどよく柔らかくなった煮干しが、まるの大好物なのだ。
「私がお味噌汁を作っている間、『早く〜!』と言わんばかりの顔をして、私の足元で待ってます」
食卓には、まる専用の椅子があり、朝晩の食事の時間は一緒に過ごす。
「おそらく、自分も家族の一員という意識なんでしょうね(笑)」
(週刊FLASH 2017年12月19日号)