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吉田戦車「グリルパン」購入したら料理の腕がちょっと上がる

連載FLASH編集部
記事投稿日:2018.04.04 11:00 最終更新日:2018.04.04 11:00

吉田戦車「グリルパン」購入したら料理の腕がちょっと上がる

 

 うちの台所のガスコンロには、いわゆる「魚焼きグリル」がない。「魚焼きグリルを洗うのが嫌い」という妻が、ついていないタイプを選んだ。
 

 古い家をリフォームして引っ越した時、水まわり製品の選択はほとんど妻にまかせっきりだった。住み始めてから「え、グリルないの。トーストとかグラタンも焼けて便利なのに」と文句を言ったら、「ちゃんと相談したよ!」とキレられた。

 

 とはいえ、どんな状況にも人は慣れるものだ。

 

 焼き魚は、焼き網だとコンロのセンサーが働いてうまくいかないのだが、表面の樹脂加工がはげまくって捨ててもいい状態になったフライパンに、オーブンシートを敷いて焼いている。なんの問題もないし、むしろ洗いやすくて楽かもしれない。

 

 が、最近、料理人の視点で台所用品売り場を見ていると、アレが目に入るのだ。魚焼きグリル内で使うための、コンパクトなグリルパンやグリルプレートが!

 

 その「すきま利用」のかたまりのようなたたずまいが、実に私好みだ。「魚焼きグリルを有効活用」「オーブンより短時間で調理可能」などと書かれていて、たいへんそそられる。

 

 欲しい……。が、そこで愕然とする。うち魚焼きグリルないじゃん、と。

 

 あきらめきれずにネットを見ていると、底が波型になったグリルパンには、普通にガスやIHの上で加熱するものもあるのだった。

 

 人気の「ル・クルーゼ」や「ストウブ」にもラインナップがある。南部鉄器のものもある。

 

 祝・メシ当番1周年ということで、ちょいとお高めだけど、そのへんの鍋を自分に買ってあげてもいいのではないか。

 

「ビタクラフト」のグリルパンが目に止まった。多層構造鍋ビタクラフトは、片手鍋を2つ持っている。もう30年近く、ほぼ毎日使っていて信頼感がある。

 

 それに決めた。お値段は9000円(税、送料込み)。使いこなせなかった時にはちょっと痛い出費になるが……。

 

 さっそく使ってみた。鶏もも肉の皮目を、脂を落としつつじっくり焼いたあと、ひっくり返して大さじ1ぐらいの水を入れてふたをして蒸し焼きに。

 

 火が通りづらい鶏肉がしっかり中まで加熱されていた。ピッチリふたができるこれにして正解。

 

「肉肉肉肉!」とうめく小学生を「まず野菜を食べてから」と制しつつ、脂がついた鍋に、洗って大雑把に切った白菜を放り込み、ふたをして蒸し焼き。塩を振る。

 

 うますぎて妻が大声をあげる。冬場はどうしても鍋物が多くなるのだが、グリルパンのおかげでバリエーションが広がった。フライパンでも同様の料理ができるわけだが、シマシマの焦げ目がゴチソウだ。

 

 道具に、料理の腕をちょっと上げてもらっている感覚がある。

 

よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん

 

※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載
(週刊FLASH 2018年4月10日号)

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