挑戦者のクセも頭に入っている。
「ブランダムラが飛び込んでくるときのパンチは、(右から左を返す)ツー・ワンが多い。こちらのジャブに右ストレートをかぶせてからのジャブですね。あのジャブで顔を跳ね上げられるのが嫌なパターン。こちらのジャブはフェイントをかけながら注意して出す必要があります」
大きなダメージを受けずとも、ちょこちょことパンチをもらい、ペースをつかめないまま失点を重ねていく……。あり得るとするなら、これが最悪パターンだ。ただし、現時点であらゆる展開をシミュレートしている村田の落ち着きぶりを見ていると、それは杞憂に終わるのではないかと思えてくる。
「パワーとタフネスは絶対に僕のほうが上。ただ、初めから身体をぶつけてパワーとタフネスで勝負するのではなく、距離を取りながらプレッシャーをかけ、相手のスタミナを奪っていければ理想。ブランダムラはピョンピョン跳ねるフットワークなのでバテるのは割と早いと思う」
試合が近づいても、村田のコメントがどこまでも力強いのは、コンディションの良さのあらわれに違いない。世界タイトルの初防衛戦では何が起こるかわからないことはボクシングの歴史が証明しているが、今回は初防衛戦とは思えないほど、心身ともに充実のチャンピオンが“大人のボクシング”でがっちりとベルトを守るのではないだろうか。