今回の勝利により、村田は次なる一歩を踏み出す権利を得た。次戦は9月か10月、試合会場はスポンサーにもなったラスベガスのMGMグランドが有力だ。
対戦相手は未定ながら、村田のアメリカでのプロモートを担うトップランク社のボブ・アラムCEOはロンドン五輪決勝で村田に敗れたエスキバ・ファルカン(ブラジル)と対戦させる構想を描く。
一方で帝拳の本田明彦会長は別の選手を頭に描いている。3団体統一王者、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との対戦を見すえ、アメリカのファン、関係者に「ゴロフキンと村田が試合をしたら面白そうだ」とアピールできる相手を選びたいというもの。そのためには、ファルカンより知名度、評価ともに高い選手が理想というわけだ。
いずれにせよ、最終的にゴロフキンとの頂上対決につなげる、という点で、アラム氏と本田会長は一致している。アラム氏は試合前、村田の東京ドーム構想を耳にして「東京ドームで試合をプロモートするのは私の夢だった。年内に東京ドームでGGG(ゴロフキンのニックネーム)とやろうじゃないか」とまで話した。
ゴロフキンに関しては、村田本人も「あこがれの存在でもあるし、強さの象徴みたいなところがある。彼に勝てば自分がリアルになれるという存在。目標として掲げるのに非常に理想的な存在です」と対戦に意欲十分だ。
ミドル級はゴロフキンと双璧をなす2強の一角、サウル“カネロ”アルバレスのドーピング違反が発覚。5月5日に予定されていたゴロフキンvs.カネロの再戦が流れてしまった。仕切り直しの可能性はあるが、いまのところ見通しは立っていない。
また、3団体の王者であるゴロフキンは指名試合を迫られており、これをうまく調整しないとタイトルはく奪、王座決定戦の開催というケースも考えられる。こうなればゴロフキンを頂点とするピラミッドが一気に崩れる可能性もあるのだ。
だからこそ村田陣営は早い段階でのゴロフキン戦を望んでいる。そのためにもまずは今秋、ラスベガスで行われる2度目の防衛戦で、存在感を大いに高めたいところだ。
この日は、村田がミドル級王者として「進化」を証明した初防衛戦となった。