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吉田戦車ターナーを買う「なんとしても餃子をひっくり返したい」

連載FLASH編集部
記事投稿日:2018.05.30 20:00 最終更新日:2018.05.30 20:00

吉田戦車ターナーを買う「なんとしても餃子をひっくり返したい」

 

 前回買った「新しい、鉄のフライパン」の余波で、また買いものをすることになった。ターナーである。

 

 ひっくり返すturnにerがついてターナーだ。「フライがえし」のほうがなじみ深いが、ターナーで話を進めることにしよう。

 

 妻は先がななめになってる竹製の「へら」を長年愛用している。ターナーと兼用でもあるそれとフッ素樹脂加工フライパンで、妻は料理をしてきた。

 

 だがその先端は薄いとはいいがたく、フライパンがまだ新しいうちならまだしも、くたびれてきた表面から餃子をうまくはがしとる、みたいなことはできなかった。

 

 そこで私が、フッ素樹脂加工フライパン用のナイロン製ターナーを買った。先がななめで薄く、柔軟性があるやつで、これなら餃子もきれいにはがせるだろう。

 

 が、すでにかなり強固にひっつくようになっていたフライパンで焼いた餃子の下には、そのターナーもうまく入っていかなかった。

 

「……イライラする。ぜんぜん使えない。このやわらかさがむかつく」などとさんざんなことを言われたため、今度はがっしりした、先端がまっすぐなナイロン製のものを購入。

 

 ホームセンターで買ったが、ネットのレビューなど見ると☆4つ。けっしてダメな製品ではない。しかしそれもひっついた餃子をうまくはがすことはできず、けっきょくそのフライパンそのものがもう限界と判断し、買い替えることになった。

 

 新しい鉄のフライパンを使ってみて、あ、もう金属製のターナーでもいいんだな、と気づいた。ガリガリやっていいんだ。

 

 スーパーやホームセンターに行ってみると、ステンレスターナーのバリエーションは驚くほど少なかった。デザインも、お玉とセットになっているような、昔からよく見るタイプしかない。

 

 もうちょっと、購買を後押ししてくれるプラスアルファがほしい。こういう時ネットショップは便利なもので、仕事はいろいろ差し迫っているが、タブレットを手に寝っ転がって「逃避検索」をする。

 

 いい感じの製品に目が止まった。

 

「貝印 SELECT100 プレスタナー」

 

 オールステンレス製のスマートなフォルム。美しい。取っ手が樹脂製のものとはちがうオーラを放っている。幅も60ミリと小さめで、私の目的に合致する。1000円(税込み)。

 

 届いた。薄くて、強靱なしなりがいい感じ。

 

 鉄のフライパンは使うたびに油がなじんできていたが、それでも目玉焼きが、新品の樹脂加工フライパンのように「するりと」はがれるような焼け方はしない。ややひっつき気味に焼ける。

 

 その鉄板と卵の接触面のすきまに、プレスターナーはさくりと入り、目玉焼きは完璧に皿に移った。餃子も焼いてみたが、そこそこひっつきつつも、ターナーのおかげで「犠牲者1」ですんだ。

 

 私もフライパンもスキルアップしていくだろうし、完璧にはがしとれる日も近い気がしている。

 

よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん

※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載

 

(週刊FLASH 2018年6月5日号)

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