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吉田戦車「食事は時間をかけて」実践のためストップウォッチを買う
連載FLASH編集部
記事投稿日:2018.06.21 09:00 最終更新日:2018.06.21 10:30
昼食に麺類を食べるのをがまんしている。以前、1年間に食べたランチをジャンルごとに集計したら、週のうち4、5日は麺類ということがわかり、これは高血圧にもなるわ、と反省した。
しばらくそれを意識してご飯ものを増やすのだが、そのうちそれを忘れて麺類が増え……ということをくりかえし、今はまた「意識してるシーズン」に入った。
同時に「食事はゆっくり時間をかけて、よく噛んで」というのを意識するシーズンにも入り、ストップウォッチで経過時間を測りながら食事をしている。
食事時間は20分以上かけるのが望ましいとされているのだが、どうしても早食いになりやすい麺類の難易度は高い。
おととし、味玉入りラーメンを時間を測って食べてみた時の記録によると、味玉を4口に分けるなどして、がんばってゆーーっくり食べて、12分。普通に食べたらだいたい7、8分。20分もかけたら伸びてしまう。
「麺が伸びる前に完食せねば麺食いにあらず!」という思いは厳然としてあり、幼児のように一本一本チルチル食べて時間をかせぐわけにはいかない。
冷たい麺ならそれほど伸びることを気にしないで食えるわけだが、ざるそばはどうだったか。
一口分を少なくして、「そばっ食いの風上にもおけねぇ!」などといわれかねないほどよく噛んで食べて、約6分。天せいろで9分。温冷を問わず、単品の麺類はゆっくり食べるのがむずかしいメニューであるということだ。
餃子やミニ丼でカロリーを増やせば時間かせぎにはなるが、それも諸刃の剣という感じだ。事前に野菜ジュースなどを買って飲んでから店に入って麺を食う、という時間延長も試してみたが、 バカバカしくなってすぐやめた。
というわけで、レバニラ定食とかサバ味噌煮定食を、腕時計かスマホのストップウォッチを見ながらちびちび食べているのだった。
ちなみに定食類の食事時間は、ストップウォッチを見ないと10分ぐらい。見ながら努力すれば18分ぐらい、といったところか。牛丼並だと、生野菜などつけてがんばって15分。カレーはもっと時間をかけづらく、飲みものであるとまではいわないが、麺類に近い。カレーは麺類。
忙しい日は自宅で昼食をすませることもあるのだが、ゆっくり食いのモチベーションを上げるため、カシオのストップウォッチを買った。1341円。2年後の今確認したら991円になっていて、悔しかった。
自宅ランチは残り物をちびちび食べる感じで、ご飯量など外食より少ない。普通に食べれば7、8分コースだ。途中で食器を洗ったり、目玉焼きを焼いて追加したりして時間を引き延ばして、なんとか20分以上を確保している。
ストップウォッチはたのもしく刻をカウントしてくれているが、スマホでじゅうぶんだったな……、と思わなくもない。
よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん
※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載
(週刊FLASH 2018年6月26日号)