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吉田戦車の午前10時「80%ハイカカオチョコ」でやる気を出す

連載FLASH編集部
記事投稿日:2018.08.22 11:00 最終更新日:2018.08.22 11:00

吉田戦車の午前10時「80%ハイカカオチョコ」でやる気を出す

 

 酒の飲み方を10段階で表示するとする。アルコール依存症が10、たしなむ程度が1、という具合にした時に、私は7~8ぐらいのところにいるだろうか。

 

 甘いものの場合はどうか。1~2ぐらいだと思う。きらいなわけではないが、食べない日が何日かあっても問題はない。

 

 

 酒を抜いた日はちょっとデザートがほしくなったりするから、もし完全に酒をやめたら、レベル5~7ぐらいの甘党になるのかもしれないが。  

 

 大人で、酒、タバコ、カフェイン、甘味のどれにも依存していない人はいない、といわれる。好みの嗜好品をいくつか、それぞれレベル1~3ぐらいで、文字どおりほどほどに楽しんでいこうよ、というのが、利口な人生の過ごし方なのかもしれない。  

 

 本題のチョコレートであるが、甘い菓子であると同時に、カフェイン、テオブロミン(カフェインに近い作用をもつ物質)を含む食品でもある。  

 

 私はカフェインに弱いようで、日が落ちてからコーヒーやチョコを摂取すると眠れなくなることがあるのだが(お茶は比較的大丈夫)、それでもチョコレートはできるだけ切らさないようにしている。  

 

 モノは、86%とか88%のハイカカオチョコレート。甘いチョコはおいしくて食べすぎてしまう。70%台は私にとってはけっこう甘くて、つい2、3個いってしまうのだが、80%台チョコだと1個ですむ。1箱ではないですよ。

 

 90%台チョコも1個ですむが、さすがに味がストイックすぎるので、80%台におちついた。

 

 これを、毎日ではないが「まじめに仕事をやらないと!」という日の午前10時ぐらいに、1個服用する。まさしく「服用」という言葉がピッタリの食べ方。  

 

 ポリフェノールが健康にいいとかなんとかいう触れこみを信じていただくのだった。

 

 妻が仕事先からもらったり、あるいは2月14日あたりに買ってくれたりして、くわしくないがゴディバとかの高級チョコレートを口にする機会もある。

 

 うまいと思うのだが、うまくて食いすぎる。そして「このうまさは、おれはいらないな」という気持ちになるのだった。

 

 寿司で例えるなら、私はマグロのトロとかヒラメのエンガワを自分から注文することはないのだが、その感じに似ている。  

 

 どうせ甘いチョコを食べるなら、昔大好きだったアーモンドチョコとか、ルックチョコレートとか、ライスチョコレートとか、ポッキーとか、麦チョコとかいう庶民的なあたりをいただきたい、というおっさん的嗜好がある。

 

 妻も、そんな昭和おやじに高級チョコなど買っても無駄無駄無駄、ということを学習し、最近は海外メーカーの質実剛健な板チョコなどをくれるようになった。

 

 たまにはちゃんと甘いチョコも食べたいな、と思いつつ、今日も80%台チョコを服用する。いっしょに飲む一日一杯だけのコーヒーがうまい。

 

 酒もこれくらいほどほどにできたら、言うことはないのだが。

 

よしだせんしゃ 
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん
 

※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載

 

(週刊FLASH 2018年8月21・28日合併号)

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