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吉田戦車「ウォーキング用の水筒」を選ぶも気がかりがひとつ

連載 投稿日:2018.08.29 11:00FLASH編集部

吉田戦車「ウォーキング用の水筒」を選ぶも気がかりがひとつ

 

 どんなに忙しい日でも、1日最低30~40分のウォーキングはしたいと思っている。

 

 暑い季節に忘れちゃいけないのが水だ。公園の水飲み場を利用するという手もあるが、やはり持ち歩くのが望ましい。バッグは小型のウエストポーチを使用。

 

 

 できるだけ軽量化したいので、いつも使っている300ccステンレス水筒は使わない。500ccのペットボトルも入るけれど、そんなにいらない。

 

 330cc入りのミネラルウォーターのペットボトルを入れてみたが、半分ぐらい飲むと、残りの水がチャポチャポいう音とともに、バッグの中でなんだかゆれる感覚があり、微妙に納まりが悪い。形状的に、サイフやスマホ等とうまくなじんでいない感じ。

 

 再利用できる、手ごろな平たいペットボトルはないか……、とドリンクコーナーを探したが、みんな円筒型ばかりである。

 

 あった、これちょうどいい! と思って手にとったのは、焼き肉のタレの平たいペットボトル。210グラム、235グラム、400グラムなどのサイズがあり、200グラム台など手ごろではないか。手に持った感じもよく、まるでゴクゴク飲むことを想定しているかのようだ。

 

 が、ニンニクや油も入っているし、さすがにこれを洗浄して水を入れて飲む気にはなれない。そうだ、これに似た感じのものといえば、ウイスキーのポケットびんがあるじゃないか!

 

 さっそく酒コーナーに向かうと、ガラスびんのものが主流だが、ペットボトル製品もある。ズボンの尻ポケットに入れやすいように軽くカーブしている「アーリータイムズ」200ccを買った。564円。

 

 このサイズのウイスキーはほとんど買ったことがなく、なかなか新鮮な買いものである。飲み干し、すすいで、ラベルをきれいにはがして(ニチャニチャが強くて難儀した)翌日さっそく使ってみた。

 

 ウエストポーチの中でとても納まりがよく、いい感じ。それこそ、尻ポケットにつっこんでもいいわけだな。量が若干足りない気もするが、昼食がてら歩くことも多いので、食事をはさめば200ccで十分だ。

 

 だが、飲んでる時の見た目が少々悪い。誰も見ていないと思うのだが、見る人がいれば「うわ、このウォーキングおやじ、いきなり一杯ひっかけた」と思われかねない形状なわけである。

 

 ラベルをはがしたことで、逆に「ウォッカやジンや焼酎感」を醸し出してしまった気もする。あまりにも暑い日には、もうちょっと水分量がほしいと思って、吸い口がついたパウチボトルのスポーツドリンクを利用してみたりもした。

 

 やわらかいのでさすがに納まりがいいが、なんというか、容器の丈夫さはわかっていても、金魚すくいの金魚を入れたビニール袋をウエストポーチに入れて持ち歩いているような、妙におちつかない感じもしてくるのだった。

 

 酒飲みたちの歴史につちかわれた、ポケットボトルの持ち歩き完成度はすばらしい。

 

よしだせんしゃ 
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。最新刊『忍風! 肉とめし 1』『来れば? ねこ占い屋』(ともに小学館)が発売中!
 

※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載

 

(週刊FLASH 2018年9月4日号)

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