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【数字は踊る】結婚と離婚の狭間
連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.03.11 17:57 最終更新日:2016.03.14 18:47
●3組に1組が離婚
欧米並みに離婚が増えていて、いまや結婚したカップルの3組 に1組が離婚するそうだが、本当だろうか。厚生労働省の平成25年度人口動態統計によれば、推計で結婚数は66万3000件、離婚数は23万1000件である。
結婚数に対する離婚数の割合は約35%になる。なるほど結婚した3組に1組が離婚することになる。
ちなみに平均の発生間隔は結婚が48秒ごとであり、離婚が2分17秒ごとである。その差はここ数年あまり変わりがない。
しかし、結婚数と離婚数から離婚率を求めることには、世代間の人口差が反映されないのでは、という指摘もある。人口減少により若い世代の結婚数が減れば、離婚数が変わらなくても離婚率は高くなる。
仮に今後、人口の多い高齢離婚や熟年離婚が増えることになれば、さらに離婚率は高くなる。
いい例がある。出生数と死亡数である。2005年以降、死亡数 が出生数より増えている(2006年を除く)。2013年の推計は 出生数が103万1000人、死亡数が127万5000人で、24万4000 人も死亡数が多い。
したがって、出生数に対する死亡数の割合は100%をはるかに超えている。主要先進諸国ではドイツとイタリアが、日本と同じように100%を超えている。米国、フランス、イギリスでは出生数が伸びており、出生数が死亡数より多い。
ところで、日本では離婚率を人口1000人に対する数、(年間離婚届出数)÷(日本人人口)×1000で表わしている。それによれば1.84となるが、子供や高齢者まで含む総人口から割り出すので、離婚率として意味があるのかという声もある。
ちなみに、1951年から1971年までは0.8前後で推移していたから、当時に比べて現在の離婚率は約2.3倍になっている。
●7割を超える離婚率って本当?
結婚しなければ離婚はない。となれば、離婚率は結婚数と離婚数から率を示すほうが身近に感じる。そこで、人口差の影響を少なくするために1984年から2013年までの30年間の結婚数と離婚数の合計を計算してみた。
すると、結婚数は2211万1441件(年平均73万7048件)、離婚数は661万9434件(年平均22万648件)で、30年間の離婚率は平均で約30%と結構高い。
年平均を見ると、平成25年度の結婚数は平均以下であり、離婚数は平均以上である。離婚率が高くなるわけである。 同居年数別では5年未満の7万6128件が最も多く、20年以上の離婚数も3万8553件あり、同居期間が10年以上では30~35年未満を除き、5年ごとの各階級で軒並み離婚数が増加している(平成24年度)。
では外国はどうか。厚生労働省による平成25年度の国際比較 によれば、結婚数に対する離婚数の割合は、フランス55.4%、米国52.9%、ドイツ48.7%が高く、イタリア26.5%、シンガポー ル24.8%が低い。
総務省の「世界の統計2014」を見ると、ベルギーは69.4%、 ポルトガルに至ってはなんと75.8%と、にわかには信じがたい数字となる(上に挙げた各国の離婚率は統計年度の違いや、同じ国でも年度の違う婚姻数と離婚数が含まれており、あくまで目安として見ていただきたい)。
8割近い離婚率になると、そもそも「結婚ってなに?」と論議を呼びそうだ。離婚率の高低は、それぞれの国の宗教や法律、社会制度などが大きく影響している。
たとえばフランスでは、簡単にパートナーと別れることができるパックス制度(民事連帯契約)による共同生活が増え、結婚数が減少している。
一方、米国では夫婦の合意がなくてもどちらか一方の意 思で離婚ができ、婚姻数も多いが離婚数も多い。
さて、約35%の日本である。もし、パックス制度や米国の「無責離婚法」のようなものが導入されたら、「離婚率4割、5割は当たり前」か?
(週刊FLASH 2014年5月13日、20日号)