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【数字は踊る】やさいの王様

連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.03.25 21:01 最終更新日:2016.03.25 21:01

【数字は踊る】やさいの王様

写真:AFLO

●野菜は好きか嫌いか

 

 野菜の異常な高値も収まってきたようだ。家計を預かる主婦にとっては由々しき問題だった。

 

 しかし、野菜が肥満や糖尿病の予防など健康にいいことはよくわかっていてもなかなか手が出ない、という男性も多いことだろう。

 

 中年男性御用達の赤提灯では、野菜の出る幕がほとんどない。昔ながらに、野菜は女の食べるものだと思っている人だっているだろう。本当に男は、野菜が好きではないのか。

 

 タキイ種苗が2013 年におこなった野菜に関する調査によると、好きか嫌いかは下のような結果になった。

 

【男性】

  大好き28.4% 好き55.9%  嫌い15.0% 大嫌い0.7%  

【女性】

  大好き50.3% 好き44.2%  嫌い5.2% 大嫌い0.3%

 

 やはり、女性に比べると男性は野菜が好きではないようだ。「嫌い」が女性の3倍近くになる。

 

 年代別に見ると「大好き」と答えたのが20代:38.1%、30代:35.9%、40代:35.8%、50代:45.0%、60代以上:48.8%となった。

 

 50 代から野菜を好む人が10%も多くなっているが、これは健康を意識してのものだろう。実際、野菜が好きな理由として挙げられたのは、1 位が「健康によいと思うから」で72.4%、これは前年の29.8%から飛躍的に伸びている。

 

 2位は「おいしいから」で69.2%、3 位は「栄養があると思うから」で61.9%と続く。「野菜イコール健康にいい」という考えであろう。

 

 年を取るにつれ、食べものにも健康志向が強く反映されてくるようだ。

 

●キャベツかトマトか

 

 日本人がいちばん好きな野菜と、多く食べている野菜は何か。 両者は必ずしも一致するわけではないだろう。

 

 タキイ種苗の調べでは、好みの野菜は男女とも5 年連続でトマトが断然の1位である。

 

 男性では19.6%、女性では22.4%を占めた。2位のジャガイ モが男性8.2%、女性7.1%だから、トマトの人気のほどが知れよう。  逆に嫌いな野菜はセロリ、ゴーヤ、春菊が1位から3位を占 めるが、4位にはトマトが入っている。トマトは、好き嫌いがはっ きりしているようだ。

 

 マイボイスコム株式会社が2014 年3 月の初めに11871人を対象におこなった調査(複数回答)によれば、好きな野菜は1位: キャベツ(68.6%)、2位: ジャガイモ(63.3%)、3位: 玉ネギ(63.0%)、4位:トマト(61.4%)、5位: 大根(59.8%)、以下ナス、キュウリ、レタス、ネギ、アスパラガス、白菜と続いた。

 

 では、実際にいちばん多く食べた野菜は何か。カゴメの調査によれば「2013 年にもっとも食べた野菜」は1位: キャベツ、2位: 玉ネギ、3位: 白菜、4位: トマト、5位: ジャガイモだった。

 

 キャベツは47都道府県中42都府県で1位だった。2013年の全国の卸売数量と卸売価格総額を調べてみると、数量(万t)では1位: キャベツ(140)、2位: 玉ネギ(117)、3位: 大根(103)、4位: 白菜(87)、5位: ジャガイモ(73)と続き、金額(億円)では1位: トマト(1638)、2位: キュウリ(1446)、3位: キャベツ(1306)、4位: レタス(1180)、5位: 玉ネギ(1080)となっている。

 

 総務省が発表している2011~13年の1世帯(2人以上)あたりの野菜に対する年平均支出額も見ておこう。

 

 金額(円)では1位:トマト(7015)、2位:キュウリ(3232)、3位:玉ネギ(3018)、4位:ネギ(2854)、5位:キャベツ(2572)となる。数量(g)は1位:キャベツ(18012)、2位:玉ネギ(15907)、3位:大根(13473)、4位:トマト(11605)、5位:ジャガイモ(10813)である。

 

 日本ではキャベツが野菜の王様のようだ。キャベツは古代ヨーロッパでは薬草だった。日本には似たような名前の胃薬もある。キャベツに限らず、野菜を薬だと思って食べるのも悪くないか。

 

(週刊FLASH 2014年6月17日号)

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