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【木村和久のぶらり艶旅】新宿(2)

連載 投稿日:2016.04.08 23:30FLASH編集部

 相席居酒屋の口直し、このまま抜かずに家へ帰れるかって、そういうこともあるが、なんか一度気持ちよく飲みたいじゃん。

 

 じゃ、歌舞伎町のキャバクラに行くか。う〜ん、いくらぼったくり店が摘発されてるとはいえ、飛び込みで行くのは自殺行為に等しい。

 

 なにしろ以前ぼったくられた時は、案内の兄ちゃんに「最近ぼったくり流行ってるから怖くて」と言ったら「それは外国人がやっている怪しい店です。うちは明朗会計で6000円ポッキリです」と、声高らかに言うではないか。

 

 じゃ大丈夫かなと、ついていったら、その安心しきってた男が、ぼったくりの手先だった。これはショックですよ。織田信長が明智光秀に裏切られたぐらいショック。ゆえに「是非に及ばず」と言って、大散財しましたから。

 

 あれこれ考えていたら、そういえば新宿西口に、知り合いのキャバクラがあることを思い出した。Sという店で、昔六本木でキャバクラをやっていたオーナーは旧知の仲だ。ここは安全なはず。そこに賭けるしかないですな。

 

 早速、店に着き、黒服を呼ぶや、気をきかせたのか、混んでいたのかVIPルームに通してもらう。

 

 やって来たのはすげえ可愛いコたち。あでやかなドレスを着て、みんな愛想がいい。

 

 挨拶もほどほどに、トークはエステの話になる。聞いてもいないのに「私、来週全身脱毛するんだ〜」と、やぶからスティックに言うではないか。

 

 こっちも「じゃ、へその下は、つるとんたんだ」と、突っ込んだら、爆笑されて「そうそう、つるとんたんだよ」って、返してきた。「つるとんたん」は、有名なうどん屋さんだけど、語呂がいいからパイパンの代わりに使っている。  これが初対面のコに通じたのには参った。

 

 そこからはいっきに打ち解けて「こんな楽しい人は初めて」だと。おいおい話を盛りすぎだろ。毎回そう言ってるとわかるが、オヤジには嬉しい。

 

 じゃ気に入られついでに「一回お願いします」とは言えなかったけどね。

 

 Sという店は、新宿西口の雑居ビルの9階にあるが、知らないと、まず行かないだろう。だいたいそんな上の階を見てないし。良心的&明朗会計店を探すのはほんと難しいですな。

 

 次はいよいよ抜きだ。そこも老舗だけど、一応靴底に、脱出用の一万円札を忍ばせますかって、いつの時代だよ〜。

 

(週刊FLASH 2015年11月3日号)

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