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【数字は踊る】米が主食の時代は終わったのか
連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.04.21 18:37 最終更新日:2016.04.21 18:37
●主食となる三大穀物
日本の主食といえば米である。農林水産省によると、2011年には消費者の米に対する年間支出額がパンに抜かれたということだが、それでも主食が米であることに異論を挟む人はあまりいないはずだ。
ところが、日本の主食はわかっていても世界各国の主食となると意外に知らないものだ。
たとえば、サッカーW杯の熱戦が繰り広げられたブラジルの主食は何かと尋ねられて、すぐ答えられる人はけっして多くないだろう。
そもそも主食とは、食事の中心として主要なエネルギー供給源になる食物のことで、「豊産性」と「安定性」のある小麦、米、トウモロコシが三大穀物として世界の主食になっている。
なかでも米を主食としている人口比率は高く、ほかの作物と 複合的に主食にしているケースを含めると、世界の人口の半分におよぶ(農林水産省)。
さて、ブラジルの主食である。一般的には、インディカ米に煮豆をかけたものとされる。米は日本のように炊くのではなく炒める。
ただし、キャッサバ(イモ類)やトウモロコシが主食の地域もあるから、これだと決めつけるわけにはいかない。イギリス人は主食を尋ねられると、はたと考え込むそうだ。
日本の米のようなものがないだけではなく、決まったものを食べるということもない。しいて挙げればパン、ジャガイモ、パスタだが、3種類もあれば主食とはいわないか。
フランスはパスタやジャガイモも食べるが、やはりパンだ。
ではイタリアはパスタか、と思うだろうが主食はパンである。 パスタはむしろおかずのようだ。
各国の主食を挙げていたらきりがないが、米国に代表されるように、先進諸国はどこの国もさまざまな人種が入りまじっていて、食の多様化が進み、国の主食という概念そのものが希薄なようだ。
●米とパン、どっちが主食?
米が主食である理由のひとつに、米が日本文化の象徴であることも挙げられるだろう。しかし、食べる人が少なくなれば主食とはいえなくなる。
実際に米の消費量はどのくらい落ちているのだろうか。
総務省によれば2011年から2013年までの1世帯(2人以上)の1年間の支出金額・購入量は表のようである。
2012年に支出金額は増加しているが、これは価格が上がったためで、購入量は減少を続けている。2011年から2013年の1世帯(2人以上)あたりの米の支出額が年平均28,083円であるのに対し、パンは2万8192円と米より多い。
ただ、パンも食パンはゆるやかな減少傾向にある。増えているのは菓子パンや調理パンだ。米同様食パンも手軽さを求める食生活の変化の煽りを受けている。
農林水産省の分析では、米とパンへの支出額の違いは消費者の収入によって異なるそうだ。低収入世帯では米への支出額がパンより多く、高収入世帯ではその逆になる。要するにパンは米より割高なのだ。
米とパンではなく、範囲を広げて米類とパン類の比較ではどうか。
2013 年の総世帯の月平均支出額は、米類は米:1889円、おにぎりその他:335 円、すし(弁当):847 円、すし(外食): 1009円で合計4080円。
パン類はパン(菓子パンを含む):1960円、調理パン:318円、ハンバーガー(外食):297 円で合計2575円である(総務省)。
減ったとはいえ、日本人はまだまだ米を食べている。