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【数字は踊る】地震・雷・火事・親父……一番怖いのは

連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.05.05 18:00 最終更新日:2016.05.05 18:00

【数字は踊る】地震・雷・火事・親父……一番怖いのは

写真:AFLO

 

●地震列島

 

「地震・雷・火事・親父」とは「恐ろしいものを順にあげた語」(大辞林)ということだが、親父はすでに権威失墜し、今のご時世では誰も怖がらない。

 

 明治生まれがまだ頑張っていた昭和40年代ぐらいまでは、頑 固親父もいれば雷親父もいた。それこそ一家の絶対君主であったが、やがてダメ親父が主流となった。そこで親父を除いた「地震・雷・火事」である。

 

 日本人にとっていちばん怖いのはやはり地震だろう。大地が突然揺れるのだからどうしようもない。身がすくむだけで何もできない。

 

 いったい日本にはどれくらい地震が起こるのか? 気象庁のデータによれば2013年9月1日から2014年8月30日までに、震度1 以上を観測した回数は1967回である。平均して1日に約5.4回の地震があったことになる。

 

 ちなみに東日本大震災のあった2011年は1年間で10681回、1日平均約29.3回を数えた。

 

 地震以上に東日本大震災では津波の恐ろしさを実感した。今日最も懸念されている南海トラフ巨大地震について、国は2012 年に最大規模でマグニチュード9.1、震度7の強い揺れなどで起きた被害想定を発表している。

 

 最悪の場合は死者約32万3000人、負傷者約62万3000人、建物の全壊・焼失が約239万戸、経済的損失は約220兆円。

 

 2014年度の国家予算が約96兆円だから、倍以上だ。想定される津波の最高の高さは、高知県の土佐清水市や黒潮町の34mである。それも地震後わずか4分から8分で到達するという。

 

 南海トラフで最後に起きた大きな地震は、1946 年の昭和南海地震である。この地震のマグニチュードは8.0、被害は死者1330人、徳島県や高知県沿岸には4~6mの津波が襲った。

 

 南海トラフでは100~150 年周期で大規模地震が発生しており、今後30 年間の発生確率は60~70%ということである。

 

●雷より火事のほうが怖い?

 

 雷が放電現象であることが理解されている現代では、昔の人が味わったような天の怒りという得体の知れない恐ろしさを感じることはない。

 

 最近ではむしろ雷と一緒にやってくる集中豪雨のほうがずっと怖い。実際、西日本では集中豪雨による土砂災害が頻発し、あらためて恐ろしさを感じたものである。

 

 2012年は落雷が非常に多かったが、1日平均約3086回、1分に2回はどこかで落雷があった。警察白書によれば、2000年から2009年の10年間の落雷による死傷者は年平均14.8人、死者行方不明者は年平均3.0人ということである。

 

 雷による死者数は限られていて、それほど怖いわけではない。

 

 最後は火事である。火事の多くは人間の過失からもたらされる。そこが自然現象の地震や雷とは違う。消防庁によれば、2013年の総出火件数は4万8095件(建物火災は2万5053件)。1日あたり約132件、約11分ごとに1件の火災が起きたことになる。

 

 火災による死者は1625人、このうち住宅火災による死者は997人(放火自殺者などを除く)。建物火災の出火原因はコンロ:3656件(14.6%)、タバコ:2500件(10.0%)、放火:2245 件(9.0%)と続く。

 

 関東大震災は火事によって被害が大きくなった。やはり火事は怖い。

 

 こうして見てくると、人間生活に欠かせない水と火が人間にとっては最も恐ろしいもの、ということになるようだ。

 

(週刊FLASH 2014年9月23日号)

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