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【数字は踊る】どこまで延びる人間の寿命

連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.06.09 21:00 最終更新日:2016.06.09 21:00

【数字は踊る】どこまで延びる人間の寿命

写真:AFLO

 

●4人に1人が高齢者

 

 人間の寿命はどこまで延びるのだろうか? 生活習慣病やガン、環境汚染、新たな感染症の出現などで短命説も出ているが、どうしてどうして、現在のところは日本に限らず、世界中で平均寿命が延びている。

 

 世界保健機関(WHO)の「世界保健統計2014年版」によれば、 世界の平均寿命は女性が72.7歳、男性は68.1歳になった(2012年統計)。

 

 もっとも、この数字はおおよそ1964年、東京オリンピック のころの日本の平均寿命に近い。

 

 総務省が毎年、敬老の日に合わせて調査する65歳以上の高齢者数を見てみよう。今年は前年より111万人増えて3296万人となった。

 

 日本の総人口(1億2707万人)に占める割合は25.9%、日本人の4人に1人が高齢者という、世界に類を見ない高齢社会が現出している。

 

 また、厚生労働省が7月に発表した100歳以上の人口も前年より4423人増えて、過去最多の5万8820人である。44年連続の増加に加え、男性の平均寿命が初めて80歳を超えて80.21歳になり、世界のなかで4位となった。

 

 女性は86.61歳で2年連続世界1位である。まさに長寿大国の名にふさわしい。

 

 織田信長が好んだといわれる幸若舞の「敦盛」の一節には、「人間五十年、下天(化天)のうちを比ぶれば、夢幻の如く」とある。信長自身は48年の生涯だったが、当時の平均寿命がそれほど長かったわけではない。

 

 日本人の平均寿命が男女とも50 歳を超えたのは1947年のことである(男性50.06歳、女性53.96歳)。そこから本当の人生50年時代が始まった。

 

 しかし、その後の歩みは速かった。67年のうちに男性が30.15年、女性が32.65年も寿命を延ばしている。それではこのままの伸び率を維持していくのかといえば、さすがにそのようなことはなさそうである。

 

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2060年に女 性が90.93歳、男性が84.19歳になるということだ。

 

●300歳が人間の寿命の限界?

 

 ギネスブックに認定されている世界歴代最高齢者は、1997年に122歳164日で亡くなったフランス人女性のジャンヌ・ルイーズ・カルマンさんである。男性の歴代最高齢は2013年に亡くなった木村次郎右衛門さんの116 歳と54日。

 

 ただし、もっと長生きしているといわれる人もいる。たとえばメキシコのレアンドラ・ベセラさんは現在127歳ということだ。本当なら彼女が歴代最高齢になるが、出生証明書を紛失してしまったため確証がない。

 

 現在、ギネスが認定している「存命中の世界最高齢者」は男女とも日本人である。男性は百井盛さんで111歳、女性は大川ミサヲさんで116歳である。

 

 ただ、朝日新聞の記事によると、ベトナムで121歳の女性がいるらしく、ギネスに申請する方針だという。

 

 さて、人は何歳まで長生きできるのか。遺伝子と長寿に関しては昔から研究されているが、とくに、2009 年のノーベル生理学・医学賞の受賞分野になった、染色体の末端にある「テロメア」と呼ばれる遺伝子の存在は大きい。

 

 このテロメアの長短が人間の寿命に大きく関わっている。テロメアの長さを伸ばすことのできる「テロメラーゼ」という酵素を活用することで、一定の長さを保つようテロメアを修復できる。

 

 そして、テロメアの細胞分裂がさらに繰り返されることで寿命を延ばすことができ、状況によっては200歳から300歳まで生きる可能性が出てくるらしい。  仮の話だから300歳まで長生きするかも、と気安くいえるが、 本当に寿命が300 歳にでもなったら、徳川時代を通して生きてもお釣りがくる。これは長い!!

 

 しかし、夢をことごとくかなえてきた人類のことだ、何百歳という長寿だって可能にさせる日がくるかもしれない。

 

(週刊FLASH 2014年12月16日号)

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