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【数字は踊る】コアラもキリンも……絶滅危惧種が増加

連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.06.23 18:00 最終更新日:2016.06.23 22:18

【数字は踊る】コアラもキリンも……絶滅危惧種が増加

写真:青木紘二/アフロ

 

 ●地球上から姿を消す動物たち

 

 コアラの初来日から30年たったが、世界のコアラの頭数は100分の1にまで減少している。18世紀末に英国人が本格的に入植を始めるまでは、オーストラリアに1000万頭以上いたとされるが、現在では5万~10万頭にまで減少しているという。

 

 激減したおもな理由は、昔は毛皮用の乱獲、今は気象の変化や宅地の開発による森林伐採だそうだ。一部の地域では絶滅危惧種に指定されているが「このまま木を伐り続ければ、数十年以内に絶滅するだろう」とコアラの保護関係者は語っている。

 

 オーストラリアの州のひとつ、タスマニア島には、かつて世 界最大の肉食有袋類だったタスマニアタイガー(フクロオオカミ)がいたが、1936年に絶滅した(その後も目撃例があるが生存の確証はない)。

 

 同じタスマニア島にだけ生息するタスマニアデビル(フクロアナグマ)は、現在では世界最大の肉食有袋類であるが、獰猛なわりには顔がかわいらしく日本人にも人気が高い。しかし病気などで減り、豪州政府により絶滅危惧種に指定されている。

 

 コアラの頭数に関する報道から10日ほど後に、キタシロサイが、飼育されていた米カリフォルニア州の動物園で老衰のため死んだことが報じられていた。

 

 地球上にたった6頭しか生存していないうちの1頭で、すでに野生種は絶滅しており、残るのはオス1頭を含む5頭だけである。

 

 世界自然保護基金によると、キタシロサイは1960年代にはアフリカで約2000頭が生息していたが、角が漢方薬の原料として高く売れるため密猟が横行し、1984年には15頭になってしまった。それがいまや5頭である。何度か人工授精がおこなわれたが、成功したことはないそうだ。

 

 キリンも減っている。ナミビアのキリン保護リサーチグループによると、過去15年間に14万頭から8万頭となった。キリンはおおむね9つの亜種に分けられるが、うちウガンダキリンの生息数は700頭未満、ナイジェリアキリンは300頭に満たない(非営利団体「国境なきゾウの保護活動」の調査)。2種とも国際自然保護連合(IUCN)により絶滅危惧種となっている。

 

 ほかにもジャイアントパンダやトラ、ライオンなど、絶滅危惧種の動物を挙げていったらきりがない。

 

●ニホンウナギに太平洋クロマグロも?

 

 絶滅のおそれのある世界の生物をリストアップした「レッド リスト」は、スイスに本部を置く世界的な自然保護団体である IUCNにより毎年発表されている。

 

 日本でも環境省が独自のレッドリストを作成しているが、IUCNの評価基準に基づいている。

 

 IUCNの2014年版「レッドリスト」では7万3686種が評価され、2万2103種が絶滅危惧種に指定された。絶滅危惧種はリスクの高い順に1A類(ごく近い将来に野生で絶滅の危険度がきわめて高い)、1B類(近い将来に野生で絶滅の危険性が高い)、2類(絶滅の危機が増大している)に分けられている。

 

 昨年6月公表の改訂版で注目されるのは、ニホンウナギが絶滅危惧種の「1B類」に、また11月には太平洋クロマグロが「2類」に指定されたことである。

 

 ニホンウナギはすでに2013年2月に日本版のレッドリストで は「絶滅の恐れがある種」になっていたが、生息地の減少や過 剰な捕獲などが続いているという判定から、IUCNでも絶滅危惧 種の1B類に指定されたわけだ。

 

 事実、国内養殖用の稚魚(シラスウナギ)の漁獲量は1963年の232トンをピークに2012年は3トンにまで落ち込んだ。同様に天然ウナギの漁獲量も1961年の3387トンのピークから2012年は165トンに激減している。

 

 また、太平洋クロマグロは、寿司や刺身のために未成魚のうちに捕獲され、繁殖の機会が奪われたことで、過去22年間で19~33%減少したと推定。漁獲量の約9割は30キロ未満の未成魚で、日本が6割、メキシコが3割、韓国が1割を占める。

 

 今年から、日本を含む26の国・地域が話し合う中西部太平洋まぐろ類委員会では未成魚の漁獲枠を過去の実績の半分にすることで合意している。

 

 また、トラフグの代用となるカラスフグは、過去40年で99.9%減ったため絶滅危惧種の1A類に指定された。ウナギ、マグロにフグが手に入らない寂しい時代がやってくる可能性が大だ。

 

(週刊FLASH2015年2月17日号)

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