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【数字は踊る】ラーメンとそば・うどん対決
連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.07.07 17:00 最終更新日:2016.07.07 17:00
●日本人はどっちをよく食べる?
いまやラーメンは日本の国民食ともいわれる。たしかに繁華街を歩いていると、いたるところにラーメン屋がある。そこでふと思う。「そば」には駅そばがあるし、なんといっても歴史がある。ラーメンとそば、店舗数や消費量が多いのはどっちか?
しかし、調べてみて当惑することがある。後述する総務省の1世帯あたりの品目別支出金額では、そばとうどんがひとくくりになっている。そこで、範囲を広げてラーメン対そば・うどんで比較をしてみた。
まずは歴史である。とくに歴史が長いのはそばだ。そばは遺跡調査から縄文時代には栽培されていたと考えられている。
しかし、今日のようなそば切りの文献上の初見は1574年のことだ。テレビドラマの『鬼平犯科帳』には、鬼平こと長谷川平蔵(1745~1795)が店でそばをすするシーンが出てくるが、鬼平が活躍した18世紀後半には、屋台だけではなく、店を構えたそば屋やうどん屋があった。
江戸後期の風俗百科事典ともいうべき『守貞謾稿』では、1860(万延元)年に江戸府内のそば屋の数、3763店とある(現在の東京都の店数は約3200軒)。
一方、ラーメンの歴史はそれに比べると浅い。新横浜ラーメン博物館によれば、浅草に初めて店舗を構えたラーメン専門店が開業したのは1910年のことである。
そのうえラーメンという呼称が全国に広まったのは、初の即席ラーメンである「日清チキンラーメン」が発売された1958年からで、まだ57年しかたっていない。
さて、全国の店舗数である。2014年のタウンページに掲載されているそば屋は2万4924軒(うどん屋や食堂も含む)。うどん屋は2万4030軒、そば屋とほとんど変わらない。重複している店もあるだろうが、単純に合計すると4万8954軒となる。
ラーメン屋は3万5330軒(2013年)。そば・うどん連合には負けそうだが、個別の比較ではいずれにも1万軒以上多い。
●外食ではラーメン!
農林水産省が昨年12月に発表した食品製造業の生産動向から 2014年1月から10月までの中華めんとそば・うどんの生産量 を比較してみよう。
これを見ると、生産量ではそば・うどん連合軍がラーメンに勝る。しかし、ここに即席めん類が加わると形勢は逆転する。インスタントは袋めんが16万5948トン、カップめんが16万9331ト ンの合計33万5279トンである(2014年1~10月)。即席めん類のすべてがラーメンというわけではないが、そば・うどんより圧倒的に品数が多い。ここではラーメンの圧勝か?
では、家庭での1年間の支出金額ではどうか? 総務省家計調査の2013年の総世帯では1世帯あたり生うどん・そば:2752円、乾うどん・そば:2299円、中華めん(ラーメン):3137円、カップめん:2948円、即席めん:1750円となっている。インスタントを除けばそば・うどんが強い。
もうひとつ、外食ではどちらの支出金額が多いか? 同じく2013年の総世帯の1世帯あたりの外食費は、日本そば・うどん:5430円、中華そば:5929円となっていて中華そばの勝ちである。
特に単身世帯ではそば・うどんが4722円なのに対し、中華そばは6522円と差がつく。家庭で作るのはそば・うどん、外食はラーメンが強いということのようだ。
しかし、支出金額ではラーメンもまったく歯が立たない相手がいる。単価の問題があるかもしれないが、その相手とはすしである。総世帯の1世帯あたりのすしに対する外食費は1万2113円(2013年)と、ラーメンの倍以上だ。
(週刊FLASH 2015年3月17日)