拳聖 シュガー・レイ・ロビンソン…「黄金のミドル級」の幕開け
重量級のパワー、軽量級のスピード、テクニックを兼ね備えたミドル級は、いつの時代も世界中で注目を浴び続けてきた。1884年に世界ミドル級タイトルマッチが初めて開催されて以降、このクラスがボクシング史に残るあまたのスターを生み出してきたのも、選手層の厚さと世界的人気を考えれば当然と言えるだろう。
何人かの名前を挙げるとすれば、真っ先に記すべきは1950年代に活躍したシュガー・レイ・ロビンソンだ。日本で“拳聖”とも称されるロビンソンは、現在のボクシングに通じるリズミカルなフットワークやコンビネーションを時代に先駆けて駆使した選手であり、全階級を通じて歴史上最も優れたボクサーの一人との評価を受けるレジェンドだ。
スマートなロビンソンとは対照的なファイター、“レイジング・ブル”ことジェイク・ラモッタとの激闘は後世に語り継がれた。ラモッタの破天荒な生きざまは、ロバート・デニーロがアカデミー主演男優賞に輝いた映画『レイジング・ブル』で克明に描かれた。“黄金のミドル”と言われた時代の話だ。