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村田諒太が現役続行。世界再挑戦はどうなるのか?

I'm Ready!FLASH編集部
記事投稿日:2017.06.19 15:00 最終更新日:2018.04.11 15:52

村田諒太が現役続行。世界再挑戦はどうなるのか?

 

 5月20日のWBA世界ミドル級王座決定戦でアッサン・エンダム(フランス)に“不運”な判定負けを喫した村田諒太が6月8日、都内のジムで記者会見を開いて再び世界を目指す決意を表明した。エンダムとの一戦は1-2の判定負けとはいえ、国内外を問わず「村田が勝っていた」との見方が大半を占め、村田の世界再挑戦への期待は大きい。はたして村田はエンダム戦で何をつかんだのだろうか。世界再挑戦はいつ実現するのだろうか。

 

 現役続行会見から数日が経過したある日、神楽坂の帝拳ジムに村田の姿があった。一発一発パンチを確かめるようにサンドバッグを叩き、国際ボクシング殿堂のセレモニーに出席するため渡米した田中繊大トレーナーに変わり、中野裕司トレーナーの構えるドラムミットに重厚なパンチを打ち込んだ。

 

 パンチを打つポイント、軌道、下半身との連動を入念に確認する。インターバルで本田明彦会長と技術論を交わし、時に笑顔も見せながら汗を流す姿は、もはや3週間前の世界初挑戦失敗が過去の出来事であり、世界チャンピオンになるべく、新たなチャレンジがスタートしていることをあらためて印象付けた。

 

村田諒太/Ryota Murata (JPN), JUNE 8, 2017 - Boxing : 大勢のメディアの前で会見する村田諒太=2017年6月8日帝拳ジム

 

 4回にダウンを奪い、その後もエンダムをロープに吹っ飛ばすなど村田のキャリア最高の出来であり優位に進めていたかに見えた試合で、村田は最後の最後でジャッジに泣いた。この判定を巡っては、WBAがエンダムの勝利につけたジャッジ2人をサスペンド処分に科すという異例の事態に発展した。試合直後は「多くの応援してくれた人たちがいて今日の試合があった。簡単に闘い続けるとは言えません」と進退を口にすることは避けていた。しかし、ボクシングへの情熱はまだ失っていないばかりか自分のボクシングに対して「改善の余地」を確信した村田が現役続行を決めるまでそれほど時間はかからなかった。エンダム戦を「勝利を奪われた忌まわしい試合」ではなく、「世界のトップに立ち、ラスベガスでビッグマッチをするためのかけがえのない経験」として消化した。

 

 村田は8日の会見で「ベルトを獲れなかったのは残念」と語りつつ、ほぼ一貫して前向きなコメントを発している。

 

「自分自身、世界レベルの選手とやって自分のボクシングがどこまで通用するのかというのは、半信半疑とは言わなくても、7割くらいしか信じていないところがあった。試合で通用するところも自分自身でわかりましたし、またこういうところでもっといかなくちゃいけないという反省もありますし、そういった意味でいい試合だったと思うし、経験だった思います」

 

 また「この戦い方(前に出て圧力をかけ、強いパンチを打ち込む)で通用するということがある程度見せられた」とした上で、具体的な課題を次にように語った。

 

「相手が初めのうちは自分のロングのパンチで下がってくれたんですけど、このパンチをもらったら危ないということで、逆に途中から距離を詰めてきた。そこに対して、ショートパンチでしっかり対応しないといけなかった」

 

 4回のダウンを奪った場面で、スタミナを使い切っても構わないというくらいの気持ちで詰めるべきだった、10ラウンド以降にもっと手を出すべきだった……。細かい反省点はそれこそ数えきれないくらいあるが、自分の力が世界のトップクラスに通用すること、トップに立つために何を磨くべきかを知ったことは、プロに入って手にした最初で最大の収穫だった。

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