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村田諒太、“スタートライン”に立つ 初防衛成功!I'm Ready! 投稿日:2019.12.26 11:00

 WBA世界ミドル級チャンピオン村田諒太(帝拳)が12月23日、横浜アリーナで挑戦者8位のスティーブン・バトラー(カナダ)を5回2分45秒TKOで下して初防衛に成功した。昨年9月に王座を奪われたロブ・ブラント(米)に2回TKOで雪辱をはたしたのが7月のこと。5カ月ぶりにリングに戻ってきた村田は、圧巻のブラント第2戦からさらに進化した姿を見せた。

 

村田諒太、“スタートライン”に立つ 初防衛成功!


 まずは村田がバトラーと対戦することになった経緯から説明しよう。
ブラントにリベンジした村田は8月に入ると次戦に向けてのジムワークを再開した。この時点で挑戦者候補に挙がっていたのは元WBOウェルター級王者のジェフ・ホーン(豪)だった。ミドル級進出をはたしたホーンの売りは“パッキャオに勝った男”。日本でも知名度の高い世界6階級制覇王者、マニー・パッキャオ(フィリピン)に勝った選手となれば、実力もプロモーション的な観点からも挑戦者として申し分がない。水面下の交渉でホーン陣営は村田との対戦、東京行きに合意していたという、いわゆる内定の状態だったようだ。
 ところが9月1日、ホーンが世界前哨戦で同胞のマイケル・ザラファにまさかの敗戦を喫してこのプランは崩れた。直近の試合で負けている選手を挑戦者として連れてくるわけにはいかない。のちに村田は「ホーンだったらモチベーションが作りやすかったでしょうね」と苦笑いしたが、それほどいいチャレンジャーだったというわけだ。
 その後、同じオーストラリアのデニス・ホーガンの名前が挙がったが、ホーガンはWBC王者のジャモール・チャーロ(米)への挑戦を選択。こうした経緯をへてバトラーに白羽の矢が立ったのである。

 


 バトラーは8割近いKO率を誇る一方で、世界的にはまだそれほど知られていないボクサーだった。打たれ脆いという弱点も手伝い、「与(くみ)しやすし」の印象を我々に与えた。自ずと村田への興味はその先、つまりはスーパースターのサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)やゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と拳を合わせる日は来るのか、というところ集まってしまう。これはいつかと状況が似ているのではないか……。
 そう、村田がまさかの王座陥落を喫した昨年9月のブラント第1戦である。ブラントはバトラーと同じくそれほど知られた選手ではなく、特別にインパクトのある武器がない選手のように見えた。村田は世界チャンピオンとして初めて聖地、ラスベガスのリングに立ち、世界の最激戦区であるミドル級で自らの存在をアピールしようとした。陣営もはっきりと「勝つだけではだめ。KOして実力を証明しなければいけない」と肩に力が入っていたのである。
 結果は村田がキャリア・ワーストとも呼べる試合内容でブラントに完敗。実力をアピールするどころかベルトさえ失った。その後、現役を続行した村田が今年7月、不利と目された再戦でブラントを2回TKOで下し、劇的な王座返り咲きをはたした姿は記憶に新しい。
 このブラント第2戦が村田にとってはキャリアのターニングポイントになった。不甲斐ない出来だったブラント第1戦の映像を詳細にチェックし、問題点を洗いざらいチェックして改善作業に取り組んだのだ。上体が起きてしまう悪癖を修正し、ワン・ツーだけで終わってしまう一発頼みの単調なスタイルを、コンビネーションを主体にしたより厚みにある攻撃に切り替えた。

 


 村田曰く、「前に出てプレッシャーをかけ、よく手を出して、相手が嫌になるまで殴る」。言葉にすればなんともシンプルなスタイルを、村田は日々、ブラント第2戦の前から新たに加入したカルロス・リナレス・トレーナーとのミット打ちによる反復練習で体にしみこませた。3階級制覇王者、ホルヘ・リナレスを兄に持つカルロス・トレーナーはミット打ちの際に絶え間なく動き、息つく間もなく連打を打たせる。村田は「手数が出るようになったし、カルロスのミットはリズムが独特でいい」と言ったものだ。
 練習をスパーリング中心に組み立て、1週間単位で長いラウンドのスパーリングをする日にピークを持っていくようにしたことも、小さいようでいて大きな変化だった。これも前回の試合からの取り組みだ。村田はその理由を次のように話している。
「走ったり、フィジカルをやったり、いろいろな練習がありますけど、浜田(剛史)さん(帝拳代表)に言われたのは、スパーリングでいい状態を作れと。スパーリングは試合に一番近い練習。そこにいいコンディションを作れなくて、試合でいいコンディションを作れるわけがない。スパーリングを試合だと思ってコンディションを作るようにしてきました」
 大好きなコーヒーを試合の1カ月以上前から控えたのもそのため。コーヒーに含まれるカフェインでテンションが上がり、スパーリング前に無駄に体力を消費することを防ごうとしたのだ。コーヒー一杯のカフェインなどたかが知れているのかもしれないが、そうではなく、大事なのは「できる限り最高のスパーリングをしよう」という村田の心がけなのである。

 


 さらに村田のこんなセリフもブレークスルーという言葉を連想させる。「考えることは大事だけど、時に考えないことはもっと大事だったりするので、考えない時間を日常から作っておくことにした」。アスリートとして深く思考する姿から“闘う哲学者”とも呼ばれた村田は考え抜いた末に「考えすぎない」という結論を導き出したのだ。何とも逆説的で興味深い話ではないだろうか。
 結果、村田は好調をキープしたままトレーニングを続けることができた。11月下旬の練習では「調子ですか? しゃべっている僕を見てもらえばわかるでしょう」と笑顔で話した姿が印象的だった。

 

 


 村田はこうして自身6度目となる世界戦を迎えたのである。

 


 実績から見ると、村田の方がバトラーより上だろうと思うかもしれないが、古くて新しい「一発のある選手は怖い」というボクシングのセオリーを忘れてはいけない。公開練習で初めて目にしたバトラーのパンチはかなり強力だと感じさせた。ゆったりとしたリズムからグッと踏み込む右ストレートが特に目を引いた。失うものがない24歳が捨て身の覚悟であの強打を振り回してきたら……。充実のチャンピオンといえども「まず勝てる」などという保証はどこにもなかった。

 


 8時29分ゴングは鳴った。村田はスタートから重心を落とし、ガードを固めながらプレッシャーをかけ、ステップインからの射程の長い強いジャブ、得意の右ストレートを惜しみなく打ち込んでいった。背水の陣だったブラント第2戦と比べても、落ち着きと安定を感じさせ、迷いがないように見える。実は試合後に村田が話すには「本当はブラントとの再戦より勝たなければいけないというプレッシャーは大きかった。控室でのウォーミングアップで調子が良すぎて、序盤はかえって空回りしかけた」という。一方バトラーはディフェンスの意識を高め、ガードを高く保ったが、村田はお構いなしにワン・ツーそしてかぶせる右をガードの上からでもパンチを叩き込み、たちまち攻撃のリズムを作ってしまった。

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