バトラーもジャブ、右ストレートで応戦したものの、いかんせん村田の圧力を受けて下がり気味だから攻撃に迫力が出ない。それでも村田が「ジャブが硬かった。パンチは予想以上にあった」と感じたというから、パンチのパワーは“バンバン”のニックネームにふさわしい力があったのだろう。ただし、優勢に立つ村田が落ち着きを失う瞬間は訪れなかった。ジャブ、右ストレートに左ボディフック、右ボディストレートを交え、コンビネーションで挑戦者を追い込んでいった。
3回にはプレッシャーをさらに強め、ストレート気味のジャブや打ち下ろす右、さらに右アッパーを決めバトラーを消耗させていった。
4回バトラーも村田の右ストレートの打ち終わりにリターンで得意の右をヒットさせたが、村田は連打を許さず自分の流れにしてしまう。村田は「このままのハイペースで大丈夫かな」と不安もよぎったという激しい試合展開となっていた。村田が完全に試合を支配しているように見えたが「試合中もチームでバトラーとの距離やガードを修正しながらの闘いだった」と振り返っている。
迎えた5回、村田の右でバトラーがグラつくと、村田は容赦なく仕留めにかかる。ここまで村田の右を被弾しながらよく耐えていたバトラーは、最後に右5発の後、返しの左フックを叩き込まれると、グシャリとキャンバスに落下。主審がノーカウントで試合を止めた。村田は「自然に出た左フックだった。ナックルにそれほどの衝撃はなかったが、倒れて立ってこないだろう」と思ったという。バトラーは試合後、完敗のショックからメディアの取材に応じることができなかった。