この勝利で村田はビッグマッチへのパスポートを手にしたようだ。村田を帝拳プロモーションと共同プロモートするアメリカのトップランクCEO、ボブ・アラム氏は試合後、「オリンピックの前に村田をカネロ・アルバレス、トリプルG(ゴロフキン)と東京ドームで対戦させたい」とビッグプランをぶち上げた。
カネロは2018年にDAZNと日本円に換算して400億円をこえる11試合で3億65000万ドルという超大型契約を結んだ、いまや世界ナンバーワンのボクシング界のスーパースターだ。そのカネロが村田と対戦するというのか?
アラム氏の言葉を引き継ぎ、カネロをバックアップするゴールデンボーイプロモーションズのロベルト・ディアス氏は「カネロがぜひ日本で試合をしてみたいと言っている。年明けから本格的な交渉に入りたい」と明言した。日本まで村田の試合を見に来ている以上、現実味のある発言ととらえていいのだろう。
帝拳プロモーションとしても、今後はただ防衛回数を重ねるような試合をするつもりはなく、多少試合間隔があいたとしても、カネロかゴロフキンとのビッグマッチを狙っていく方針だ。
世界にはメジャーと言われるチャンピオン認定団体が4つ存在し、さらには暫定だ、フランチャイズだ、ゴールドだとその存在価値がやや薄い「チャンピオン」が増え続け、一つの階級に世界チャンピオンが6人も、7人もいることが珍しくなくなった。だが、村田はこの試合の内容、結果で、選手の層が厚く、日本人には難しいと思われていたミドル級で、完全に世界的に認められたのだ。
村田のいう「トップ・オブ・トップ」を求める戦いが始まろうとしている。
写真/山口裕朗