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女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」 『鬼滅の刃』全集中の呼吸とアナウンサー修業

芸能・女子アナ 投稿日:2020.11.20 16:18FLASH編集部

女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」 『鬼滅の刃』全集中の呼吸とアナウンサー修業

 

 11月初旬、漫画家・吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)氏原作のアニメ映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』を観た話を書いたところ、すぐに妹の中学時代の同級生からこんなLINEが届きました。

 

「鬼滅の記事、Yahoo!ニュースで見ました。コミック第22巻までありますぜ」

 

 

 そして翌日、我が家に全巻が届けられました。コミックスを手に取るのは、美内すずえの名作少女漫画『ガラスの仮面』以来です。

 

 噂どおり、首が切られて飛ぶようなエグイ描写は多いですが、スピード感と迫力があり、またどこか心にしみる物語。映画のシーンがよみがえる第7巻までまず一気に読みました。

 

 主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)がメキメキ強く成長する姿をたくましく感じ、妹・禰豆子(ねずこ)をいとおしく思い、時には鬼にも心を寄せたくなる。コミックスを肌身離さず持ち歩き、結局3日間で読破。今、もう一度読み返しています。

 

 社会現象になっている漫画について、鬼滅かけ出しの私が語るのはおこがましいのですが、アナウンサーの端くれとして、『鬼滅の刃』のキーワード「呼吸」に関連して少し思うところを書かせてください。

 

 菅首相が11月2日の衆議院予算委員会で「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と語りました。

 

 その瞬間の議員さんたちの反応はシラっ。『鬼滅の刃』を知らないのかもしれませんし、菅さんの発音が違っていたので何を言っているのかわからなかったか、「見てもいないのに、流行りの言葉だけ引用してけしからん」という想いだったかもしれません。

 

 アニメを見ると、発音としては「ぜ・ん・しゅ」までは平板にするのが正しい発音です。菅首相が述べたように「ぜ」の後「ん」を下げると、たくさん「集中」というものがあって、そのすべてという意味になり、鬼滅ファンには違和感があるでしょう。

 

「全集中」「全集中の呼吸」は、体中の血のめぐりと心臓の鼓動を速くして体を超活性化する呼吸法であり、そこから繰り出される剣術の体系です。

 

 私たちも生きるために呼吸していますが、『鬼滅の刃』の呼吸法は「日の呼吸」を源として5つの基本流派からなる技術で、努力して習得するものです。

 

 無限列車で鬼を倒した炭治郎に、煉獄さんが「呼吸を極めれば、さまざまなことができるようになる。昨日の自分より確実に強い自分になれる」と語る素敵なシーンがあります。

 

 炭治郎たちは地道で過酷な修練を積んだ結果、まさに呼吸を極めて鬼を倒すほどの強さを身につけていきます。

 

 次元は違いますが、アナウンサー修業も同じ。呼吸は大切です。深い呼吸は血液にたくさんの酸素を送り、脳や体を活性化させます。無意識に働くはずの自律神経まで呼吸でコントロールできるようになれば、番組本番での緊張も気にならなくなります。

 

 最初は腹式呼吸から学び、インタビューで相手と呼吸を合わせながら話の核心に切り込むことも習得していくのです。

 

 漫画に「全集中常中」という言葉があります。つまり全集中の呼吸を四六時中欠かさず続けて体の活性化をはかる技術ですが、アナウンサーにも通じます。

 

『鬼滅の刃』はフィクションでありながら、話のあちこちに理にかなった描写があり、何か自分事として捉えてしまいます。ページをめくりながら「そうだよね」「私も頑張る」。私もはまっていますね。

 

 先日、遊びに来た3歳になったばかりの姪が、コミックスの表紙を見ながら「ワタチはネジュコがチュキ!(私は禰豆子が好きの意)」と言うので、びっくりしました。

 

「ねずこ」と発音できない幼な子も鬼滅を知っているなんて、恐るべしです。甥は私が鬼滅を知るのに参考になりそうなYouTubeのURLを教えてくれました。毎日妹も読みふけっています。

 

 思わず、『鬼滅の刃』がつなぐファミリーの絆を感じる今日この頃。最終巻第23巻の発売日12月4日が近づいてきました。

 

横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

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