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女子アナ横井弘海の『エンタメ時間』根津美術館「きらきらでん」が素敵すぎる

芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.15 16:09 最終更新日:2021.01.15 16:42

女子アナ横井弘海の『エンタメ時間』根津美術館「きらきらでん」が素敵すぎる

桜がデザインされた鞍

 

 ファッションの中心地、東京・南青山。地下鉄表参道駅のある交差点から原宿駅に向かう表参道はいつもにぎやかです。青山通りをはさんで逆方向、西麻布方向にのびるみゆき通りは、同じファッショナブルでも、落ち着いた大人っぽい通り。そして、そのみゆき通りに沿って駅から徒歩約8分のところに根津美術館があります。

 

 

 東武鉄道の初代社長を務め、「鉄道王」と呼ばれた根津嘉一郎氏が収集した日本と東洋の古美術コレクションをもとに作られた戦前から続く美術館で、国宝7件、重要文化財87件、重要美術品94件を含む約7400件を収蔵する質の高さで有名です。

 

 交差点の右奥に見える竹の生け垣に囲まれた2階建ての和風建築は、2009年にリニューアルされた展示棟。設計は隈研吾氏。美術館入口から竹の廊下を進むと、左手に展示棟の入口が現れます。

 

 エントランスホール正面はガラス張りになっており、奥の庭園の緑が目に飛び込んできます。都内のど真ん中にありながら、根津氏の「自然そのままの景観を作りたい」という意向を生かした深山幽谷の趣ある贅沢な庭園です。美術館全体の敷地は2万1625平方メートル。東京ドーム(4万6755平方メートル)の約半分の広さがあります。

 

 庭園には4つの茶室があり、たびたびお茶会に利用されますが、それ以外は人も少なく、四季折々の美しさを愛でながらゆっくり散策を楽しめるので、私にとってはなるべく秘密にしておきたい場所でもあります。

 

 毎回テーマを変えた興味深い展覧会をおこなっている同美術館で、2月14日まで開催されている企画展が「きらきらでん」。タイトルを正確にお伝えすると「らでん」の上に逆ルビで漢字を当てています。「螺鈿」。読むのも書くのも難しいですが、「螺(ら)」は巻き貝、「鈿(でん)」は貝で装飾するという意味があります。

 

 夜光貝や鮑貝など真珠層を持つ貝を文様の形に切り抜き、嵌め込んだり貼り付けたりして装飾する技法が螺鈿。アジア圏では漆(うるし)が取れますので、貝と漆による美しい世界が古来、人々を魅了してきました。

 

 今回は、中国大陸・朝鮮半島・日本・琉球の螺鈿作品を通して、螺鈿技術が日本にどのように受容されたか、その歴史と魅力を紹介しています。

 

 螺鈿は日本で独特の発展を遂げたのですが、説明すると、なんだか小難しくなってしまいます。そこで結論は、「きらきら」って、現代の人だけでなく昔の人も大好きなのだなぁと感じる展覧会です。

 

 中国、朝鮮、琉球、日本、また時代によって、それぞれの技術や美的センスが異なり、どれも美しい。金ピカとは異なり、内から放光するかのような貝片の青から赤のグラデーションがあやしくも素敵です。単眼鏡で見ると、その繊細な技術や色や形の美しさがより堪能できるそうです。

 

 当時、これらのお宝を注文したり、手にすることのできた人たちはどんな方だったでしょう。見ていると想像が膨らんで楽しくて仕方がありません。

 

 たとえば、13世紀の「桜螺鈿鞍」など満開のピンクの山桜を全体に表した華やかな鞍にまたがった鎌倉時代の武将はいったい誰? 江戸時代、精緻な杣田(そまだ)細工の小タンスを両手に乗せながら繊細な模様を間近で楽しんだのは娘?奥様?大名?とか。

 

小タンス

 

 また、同じく江戸時代のアジサイ模様の文箱は、なんとみずみずしいことか。「江戸時代にもヴァン クリーフ&アーペルがあったのだなぁと思っていただいたらどうでしょう」と学芸員の永田さんが教えてくれました。

 

アジサイ模様の文箱

 

 確かに!

 

 パリ・ヴァンドーム広場22番地に最初のブティックを開いた宝石店ヴァン クリーフ&アーペル。美しい貴石やマザーオブパール(あこや貝)をはめ込んで花を象ったジュエリーをご存じの女性は多いと思います。

 

「バンクリ」では美しいジュエリーを作り出す職人のことを「マンドール(黄金の手)」と呼ぶそうですが、日本にもアジアにも、昔から名も知れぬ多くの「マンドール」たちが後世に残る芸術品を作ってきたことをあらためて感じる時間でした。

 

 先行き不安の多い今日この頃ですが、芸術鑑賞はそんな気持ちを明るくしてくれます。

 

写真説明、上から
◯桜螺鈿鞍:重要文化財、日本・鎌倉時代、13世紀、国(文化庁保管)
◯裂地螺鈿小箪笥:日本・江戸時代、18~19世紀、根津美術館蔵、福島静子氏寄贈
◯紫陽花蒔絵螺鈿文箱(部分):日本・江戸時代、18世紀、根津美術館蔵

 

●根津美術館企画展「きらきらでん(螺鈿)」
2021年1月9日~2月14日
※オンラインによる日時指定予約制

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