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女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」佐藤可士和展で感じた「デザインってすごい!」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.12 16:00 最終更新日:2021.03.12 16:07
東京・六本木の国立新美術館で開催中の「佐藤可士和展」が、平日からにぎわっています。日本を代表するクリエイティブディレクター・佐藤可士和(さとうかしわ)さんの、これまでで最大規模となる個展です。
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会場には、クリエイティブの原点である幼少期に制作したコラージュ作品から、誰もが知っている企業ロゴ、デジタルコンテンツなど多彩な作品が展示され、約30年にわたる活動の軌跡を追体験できます。
デザインは国立新美術館の要なテーマのひとつで、2016年の『MIYAKE ISSEY展:三宅一生の仕事』、2017年の『安藤忠雄展-挑戦-』に次ぐ大規模な個展となります。3人に共通するのは、ジャンルは違っても、既成の枠にとらわれない自由で斬新な表現を続け、国内外から注目を集めていることでしょうか。
佐藤さんの作品は、日々、町のいたるところで目にします。
たとえば、信号待ちをしていると、建物の屋上から下がった「楽天ポイント」の大きな垂れ幕や「ユニクロ」「SUIT SELECT」の看板が見えます。
目の前をホンダの軽自動車「N-BOX」やワゴン車「ステップワゴン」が走り、向かいの「セブン-イレブン」店内ではオリジナル商品「セブンプレミアム」が販売され、支払い時に出すのは「Tポイント」カード。
そして「TSUTAYA」でDVDを借り、コートのポケットには手触りのよい「今治タオル」のハンカチが……。みなさんも、ここにあげたロゴや商品がすぐ目に浮かんだり、持っていたりしませんか?
これらすべてが佐藤可士和さんの作品、あるいはクリエイティブディレクションなどで関わっていると知れば、その才能に驚くほかないでしょう。
簡単に佐藤可士和さんのプロフィールをご紹介しますと、1965年、東京生まれ。大手広告代理店の博報堂でアートディレクターとして斬新な広告プロジェクトを次々と成功させました。
2000年に独立後は、企業に限らず、多種多様な分野で革新的なVI(ビジュアル・アイデンティティ)・CI(コーポレート・アイデンティティ)、ブランド戦略を手がけています。
そこには幼稚園、病院、ミュージアム、ファッション、地域産業も含まれます。ちなみに本展覧会の会場である国立新美術館の「新」のロゴも佐藤さんが2006年に作ったものです。
佐藤さんは多くの本も執筆しています。『佐藤可士和の超整理術』(2007年、日本経済新聞出版)や『佐藤可士和の打ち合わせ』(2014年、ダイヤモンド社)のような、ご自身の仕事をベースとしたビジネス書もあって、とても興味深く読みました。
デザインの根本原理というのは、佐藤さん曰く「伝えるべき情報を整理してその本質を抽出し、誰もが一目で理解できる視覚言語・記号に置き換え、広く伝達する」ことだそうです。
佐藤さんの作品が私たちの日常に溶け込んでいるのを見れば、デザインが文化、経済など社会の隅々にまで影響を及ぼすことが簡単に理解できます。
と、ちょっと話が固くなってしまいましたが、展覧会は何も考えることなく、ただ楽しい作品と展示が次々に現れ、まったく飽きません。
CDジャケットからコンサートグッズまでをトータルにデザインしたSMAPデビュー10周年キャンペーン「Smap」。「日清カップヌードル」の小部屋。ぐるりとつながった仲間外れのないドーナツ型の建物「ふじようちえん」などなど。
世の中にデザインされてないものはないのでしょうが、アルファベットや文字の配列、色の組み合わせだけで強い印象を残す作品は、まるでマジックのようです。
コロナ禍の展覧会ですので、人の話し声はほとんど聞こえませんが、会場ではあちこちでカメラのシャッター音が響いていました。作品のみというより、人が展示の一部になるように撮る人が多いのが印象的でした。みなさん、作品を身近に感じているのでしょう。
そして、こうした写真がSNSで発信され、また新たな情報を伝達するのです。優れたデザインは強い拡散力を持っていることがわかります。
三井物産の企業広告を熱心に読んでいる人が多いのも驚きでした。佐藤さんは同社のブランディングのトータルプロデューサー。広告は社員の方々が一緒に考えました。
企業理念や自分の仕事を振り返り、社会にメッセージとして発信したことで、社員のモチベーションも上がったそう。もちろん、企業のブランド価値も高まるわけで、その相乗効果に感心しきりでした。
デザインの持つ力に、心から圧倒される展覧会でした。
※佐藤可士和展
2021年5月10日(月)まで。5月4日を除く毎週火曜定休
●横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)