芸能・女子アナ
俳優・遠藤憲一「浅田真央ちゃんから学ぶことがすごく多い」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2016.12.07 12:00 最終更新日:2016.12.07 12:47
「エンちゃん、久しぶりじゃない」
都内・新宿にある焼き鳥屋のママが、そう声をかけたのは、「エンケン」こと、俳優の遠藤憲一(55)。いまやドラマに欠かせない名バイプレイヤーである。
彼が20年以上通いつづけるこの店では、「エンちゃん」と呼ばれる人気者。気さくに酒を酌み交わし、強面のイメージはさっそく裏切られた。
高校中退後、劇団を渡り歩いた遠藤は、仲代達矢が主宰する「無名塾」の試験に合格するも、10日でやめてしまう。その後、特に理由はなかったが、新宿を住処とした。
「21歳から新宿の外れに住みつづけて、かれこれ30年以上。歌舞伎町みたいなガチャガチャした街が好きなんだよね。雑多なものがわっとあって、エネルギーみたいなものを感じる。そういう場所に歩いて行けるのが魅力かな」
心地よい街。かつては、この店にも毎日のように通った。
「2、3日は休みがないと、外で飲まなくなった。昔は二日酔いでもできたけど、いまは集中力が違うのが自分でわかる。
俺はべつに有名人になりたくて、この世界にいるわけじゃないから。役作りが楽しくてやってるのに、本業が台無しになったら意味ないじゃん。
だから最近は、酒は家で飲みます。毎日、その日に飲むぶんをコンビニで買うの。缶ビールと缶チューハイを3本ぐらい。それ以上は飲まないように、ボトルを買い置きしたりはしないな」
最近、外で飲んだのは休みがあった3月。中学の同級生とだった。
「彼ね、高校で歴史を教えてる教師でね。俺は大河(ドラマ)とか決まると、彼に歴史を教えてもらうの。で、俺は彼が教頭試験に落ちて暴言を吐きまくってるときに、それを聴いてあげる役(笑)。
そいつに『真田丸』のこと聞いたら『いいよ、おもしろいよ』って。それを聞いてひと安心かなって。
俺が演じてる上杉景勝は、ある意味、弱さと葛藤している男。俺はどっちかっていうと、眼光鋭い、強いイメージがあるでしょ? だからプロデューサーにも『なんで遠藤さんを選んだのか、さっぱりわからなかった』と言われて。
だけど、実際の俺は『ビビリ』で、心弱い人間だから、右往左往しやすい。エリートのトップとかヤクザのドンとか、むしろその役作りのほうが窮屈で大変。
三谷(幸喜)さんは俺と会ったことがなかったのに、俺の何を見て、この役に当てはめてくれたのかなって。鋭い人だな、見抜かれたなって思いました」
1杯めは生ビール、2杯めはレモンサワー。また生ビールに戻る。旨そうにジョッキを傾け、きわどい質問には「マコ、言っていい?」とカウンターの隅に目を向ける。遠藤が「マコ」と呼ぶのは、個人事務所の社長を務める夫人の昌子さん。結婚26年めを迎えた。
「俺がマコに『マネージャーやってよ』と、3年かけて口説いた。それからもう10年になるかな。いちばん俺のことをわかってくれてるから、マコにやってほしかった。
それから違うジャンルの仕事が増えたね。
たまに演技のことでも、ズバッて言われることがある。自分がノッてる演技ができたとしても、それがいい演技だったとは限らないって。それで一回は怒ってケンカになるけど、朝になるとわかることってあるから」
カウンターの隅で話を聞いていた昌子さんは「仕事でナーバスになると、きわめて面倒くさいことを言い出すけど、手のかからない人です」と微笑む。
先ほどから、天井近くのテレビを気にしている。女子のフィギュアスケートを放送していた。
「俺、(浅田)真央ちゃんがすっごい好きなの。真央ちゃんは失敗しない人ではない。ハラハラドキドキさせるよね。完璧じゃないんだけど、あんなになめらかで美しいスケートをやる人っていない。
俺たちの仕事が、『一発一丁』だよって言われたら、無理だと思う。撮り直しなしでしょ。学ぶこと、すごく多いなって思う、観ててね」
(週刊FLASH 2016年11月15日号)