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女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」五輪開幕で知りたい!超人たちの肉体の秘密
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2021.07.30 16:00 最終更新日:2021.07.30 16:00
東京オリンピックが始まりました。日本選手のメダルラッシュは驚異的で、テレビ各局はオリンピック一色。私も毎日テレビにかじりついています。
スケートボードやサーフィンなど新しい競技もかっこいいですね。開幕前にはさまざまな問題に揺れた今大会ですが、頂点を目指して戦う選手たちの姿から目が離せません。
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昔から、オリンピックでは数々のドラマが生まれました。
先日、駐日オランダ大使公邸で、1964年の東京五輪の柔道無差別級で金メダルを獲得したオランダの英雄アントン・ヘーシンク氏が大会で着用した道着を拝見させていただきました。
ヘーシンク氏の勝利は柔道をお家芸としてきた日本に激震を走らせました。一方で、試合でみせたふるまいはヨーロッパの人たちを感動させ、オランダでは地方の小さな町にも道場ができるほどの人気を呼びました。まさに、柔道の国際化を加速させたわけです。
ヘーシンク氏は198cm、120キロの巨体です。トレーニングの専門家もいない時代に、ただがむしゃらに体を鍛えたというヘーシンク氏の大きな白い柔道着を見上げながら、その苦労に想いを馳せました。
それにしても、オリンピックに集う選ばれしアスリートたちは、いったいどんな肉体と精神の持ち主なのでしょうか。
最新の科学を駆使し、選手の超人的なパフォーマンスと人体の秘密に迫る展覧会が、東京・青海の日本科学未来館で開催されています。
『NHKスペシャル』と連動した特別企画『超人たちの人体』(9月5日まで)です。
ウサイン・ボルト(ジャマイカ・陸上)、タチアナ・マクファーデン(アメリカ・パラ陸上)、ケレブ・ドレセル(アメリカ・競泳)というまさに世界の頂点を極めたトップアスリートが協力し、彼らの体をMRI(磁気共鳴画像装置)で撮影、筋肉や脳を高精細映像で可視化しました。
ボルトの等身大MRIプロジェクションや、幅14メートルの大型モニターで観るドレセルの美しい泳ぎなど、圧倒的なパフォーマンスの裏に隠された身体的特徴が立体的に紹介されています。
彼ら自身が競技について語る映像を見つつ、会場では筋力、垂直飛びの測定や、競技用車いすを使った100メートル疑似走行体験が楽しめます。
身体能力の高さは持って生まれたものなのでしょうか。
英国でおこなわれた調査で、スポーツ能力はおよそ66%が生まれ持った要因によって、残りのおよそ34%がトレーニングや栄養などの環境的要因によって説明されるというパネルがありました。
しかし、人間の体は未知の世界。具体的にどの遺伝子が、どんな影響を与えているかについて、まだまだわからないことが多く、世界中で研究が続けられています。
ボルト、マクファーデン、ドレセルのような名選手でさえも、想像を絶する激しいトレーニングと強い精神力をもって、初めて超人レベルまで到達することができ、それでも勝てない日もある。だからこそ、見ている人に感動が伝わるのでしょう。
3選手に言えることですが、ウサイン・ボルトも天賦の才能だけの人ではありません。
2009年、ベルリン世界選手権100mで出した9秒58は前人未踏の超人記録です。身長195cm、体重95キロ、長い手足は、走るために生まれたよう。
しかし、ボルトは背骨が右方向に出っぱる脊柱側湾症を患っていました。バランスに影響を与え、100分の1秒を競うトップアスリートの世界では大きなハンディキャップになりかねない背骨の湾曲。
でも、「曲がった背骨と人一倍の努力が私をちょっと特別なものにした」と、ボルトは映像で語っています。
肩を極端に傾けて走る独特のフォーム。それは、左前方に大きく傾いてしまう体を逆手にとり、左足の踏み込みをより強くするために生まれた独特の走法でした。
この走りを完成させるまで、ボルトは背骨を覆う筋肉と下半身の筋肉を鍛え続けました。
また、一見すると偏平足に見える足は、最新鋭の科学をもって調べると、なんと土踏まずの部分に筋肉がぎっしり詰まっていることがわかりました。
「よく聞け、世界一になりたいんだろう。オリンピックチャンピオンになりたいんだろう」と言いながら、自分を限界まで追い込んだという、ボルトのすごさをあらためて感じました。
さぁ、今回はどんなドラマが生まれるのでしょう。酷暑と湿度で大変ですが、どうぞ選手の皆さん、力を十分発揮されますように願っています。
●横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)
※ヘーシンク氏の道着は、駐日オランダ王国大使館公式YouTubeチャンネルの東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の記念展示「Olympic Heritage / Paralympic Legacy オリンピック・パラリンピックから引き継がれるもの」で紹介されています