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マンガの聖地「トキワ荘」でほのぼの昭和散歩/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

芸能・女子アナ 投稿日:2021.11.05 16:00FLASH編集部

マンガの聖地「トキワ荘」でほのぼの昭和散歩/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

トキワ荘マンガミュージアム外観

 

「トキワ荘」をご存じですか? 東京都豊島区椎名町に1952年から1982年にかけて存在した木造2階建てのアパートです。

 

『ジャングル大帝』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』で、すでにストーリー漫画の第一人者として人気を博し、マンガ家を目指す若者のあこがれだった手塚治虫が、1953年、このトキワ荘に入居します。それを皮切りに、寺田ヒロオ、藤子不二雄(藤子・F・不二雄、藤子不二雄A)、鈴木伸一、森安なおや、石ノ森正太郎、赤塚不二夫、水野英子など、後に日本を代表するマンガ家たちが続々入居し、切磋琢磨したという伝説のアパートです。

 

 

 ご本人たちも、しばしば青春を過ごしたトキワ荘の思い出を語っています。書籍やテレビ番組、映画にもなるほどで、とても愛着を持っていたことがわかります。老朽化によりアパートは1982年に解体されましたが、当時から復活を望む声が寄せられていました。

 

 そして、2020年7月7日、南長崎のトキワ荘公園(南長崎花咲公園)に、トキワ荘の外観・内装等を忠実に再現した「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」が開館しました。1階はトキワ荘ゆかりのマンガや書籍が展示されたマンガラウンジと企画展示室で構成されており、2階は当時のトキワ荘の様子を再現しています。

 

 西武池袋線椎名町駅を通るたび、駅構内にある「マンガの聖地」を紹介する地図や案内板を見ていたため、先日、トキワ荘に行こうとふと思い立ちました。

 

 それは、特別企画展『トキワ荘の少女マンガ』(~12月5日まで開催)のポスターに描かれた手塚治虫の『リボンの騎士』、水野英子の『銀の花びら』に惹かれたからかもしれません。顔の半分くらいを占める大きな瞳の中にお星様が輝いている女の子の絵がとても懐かしくて、これは近くで観ないと! と思いました。

 

 ミュージアムは椎名町駅から徒歩15分。「マンガの聖地としま」というだけあり、道すがら、あちこちモニュメントを見つけながらの楽しい町歩きです。

 

 目白通りからトキワ荘通りに入ると、いよいよ本格的な施設が登場します。まずは「トキワ荘通りお休み処」。トキワ荘の兄貴分、寺田ヒロオの部屋を再現した展示やトキワ荘関連本、トキワ荘に住んだマンガ家たちの作品の閲覧ができ、さまざまな情報を得ることができます。宴会に欠かせなかった寺田考案の焼酎のサイダー割り「チューダー」の飴がお土産で一番人気だそう。

 

 昭和の本屋の趣きの「トキワ荘マンガステーション」では、かなり貴重なマンガに出合えます。なんと蔵書6000冊。本の多くはご近所の方からの寄付です。マンガは読み放題。1日中、ここにいたら幸せだろうなぁ。

 

 そして、トキワ荘に行くなら、中華料理「松葉」にも行くでしょう。トキワ荘のマンガ家たちがこよなく愛した店で、土日は行列ができるほどの人気。店内にはマンガ家さんたちのサイン入り色紙がびっしりと飾られていました。

 

 2代目店主の山本一広さんに代わって、ひとりで店を切り盛りするのは奥さんの麗華さん。「昆布、煮干し、鶏、豚、野菜で煮込んでスープを毎日作るのはなかなか重労働ですが、多くのお客様が来てくださってありがたいです」と微笑みました。とても品のよい味の醤油ベースのラーメンです。

 

「これで思い残すことはないです」と、近くでラーメンを食べ終わった男子がお金を払いながらつぶやくのが聞こえました。「ずいぶん大げさな」と思うのは、彼に失礼ですね。松葉には確かに聖地の空気が充満しています。

 

 そして、通りを進むと、公園の奥によみがえったトキワ荘が見えました。新しい建物ですが、壁や屋根、内装、部屋に置かれた道具は、工夫を凝らしてエイジング。部屋の窓から見える景色は絵で再現されています。2階部分は10室すべて四畳半。部屋も当時の写真や聞き取り調査で、できるだけリアルに再現したそうです。あまり家具がなく、共同の調理場や男女一緒のトイレなどには時代を感じます。

 

 でも、20歳前後の若者が同じ夢に向かって暮らすなら、きっと毎日が刺激的で楽しかったはず。1階の特別企画展『トキワ荘の少女マンガ』もほのぼの昭和で、必見です。

 

 マンガ家たちがトキワ荘で暮らした1953年から1962年。高度成長時代の昭和、誰もが明るい未来を夢見て突き進んでいたことでしょう。トキワ荘のマンガ家たちはその象徴であり、日本が世界に発信できる最強のコンテンツであるマンガやアニメの基盤を作りました。

 

 そんな文化遺産を継承・発展させようという、現在の町ぐるみの盛り上がりも素敵です。ミュージアムでは11月1日から7日まで「としま文化の日」ウィークとして、スペシャルイベントを開催中。この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

横井弘海(よこいひろみ)

 

東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

 

( SmartFLASH )

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