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角川武蔵野ミュージアムで「浮世絵を浴びる」かつてない体験/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.26 16:00 最終更新日:2021.11.26 16:00

角川武蔵野ミュージアムで「浮世絵を浴びる」かつてない体験/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

浮世絵の魚と遊ぶ

 

 冬に向かう今ごろの晴れた日は、外の空気がひときわ気持ちいいです。青空に誘われて、先日、念願の「角川武蔵野ミュージアム」に行ってきました。

 

 昨年11月、日本最大級のポップカルチャーの発信拠点としてKADOKAWAが埼玉県所沢市に開業した大型文化施設「ところざわサクラタウン」。その中核をなすのが角川武蔵野ミュージアムです。

 

 

 JR東所沢駅から10分ほど歩くと、東所沢公園に着きます。チームラボの『どんぐりの森の呼応する生命』が位置する、コナラの雑木林を歩くだけで気分が上がります。

 

 公園を抜けると、前方左手に、ガラス張りの社殿が輝くアニメ聖地88カ所の1番札所「武蔵野坐令和神社(むさしのにます うるわしき やまとの みやしろ)」が。そして、右手に巨大な岩の塊のようなミュージアムが見えてきました。

 日本を代表する建築家・隈研吾氏がデザインを監修。約2万枚、重さ1200トンの花崗岩を組み合わせて造られた61面体の建造物です。目の前の浅い水盤が鏡のように建物を映し出し、「武蔵野の足元深くにある地層から、古代の火山積層物が地表に割り出てくるイメージ」でそびえています。

 

 神社、鎮守の森、そして神様が降臨する「磐座(いわくら)」のようなミュージアムのしつらえは、まさに令和の聖地のよう。

 

 多くの人が水盤に向けてカメラを向けていました。何かと思えば、2本の足が水面からニョキっと出ています。昔懐かしい角川映画『犬神家の一族』の印象的なシーンで、映画のプロモーションとして、12月6日まで公開されている “映えスポット” でした。

 マグマの塊のような建物の正面は、羽根を広げた巨大な鳥が覆っていました。24×14メートルの「武蔵野皮トンビ」(鴻池朋子作)で、昨年から続く「コロナ時代のアマビエプロジェクト」の一環。人々に求められる希望のイメージを、6人のアーティストが順番に制作しています。

 

 建物自体がアートですから、お堅いミュージアムなら「作品を壁に貼りたい!」という作家の希望はサラッと断られそうですが、ここは既成概念にとらわれないというか、遊び心が感じられます。

 さて、このミュージアムは図書館、美術館、博物館を兼ね備え、「美術・博物・図書をまぜまぜにする」というコンセプト。今回は、オープン1周年記念展「浮世絵劇場 from Paris」をご紹介しましょう。

 

 フランスで200万人を動員したという「Dreamed Japan “Images of the Floating World”」のパワーアップバージョン「SPIRIT of JAPAN」です。制作はパリをベースに活動するアーティスト集団「ダニーローズ・スタジオ」で、世界中の空間をキャンバスに五感で感じるアートを発表しています。

 

 海、空、魚、花、女、扇、書などが大空間に映し出され、浮世絵がダイナミックに迫ってきます。日本人とは異なる感性で制作されているからでしょうか、12幕のシーンは自分の知っている浮世絵とはまた違う感動があるものだと驚きました。

 

 この展示のプロデューサーの今井久さんに話を聞くと、「大量の浮世絵から今回のモチーフを選んで、彼らのテクノロジーとストーリーを掛け合わせて作りました。日本人なら『この絵が有名だから使おう』と考えてしまいそうですが、外国人である彼らは、有名無名関係なく、純粋に使いたい浮世絵を選んでいる点が新鮮に感じられる理由かもしれません」と教えてくれました。

 

 平日も賑わうこの記念展には、「浮世絵を浴びました!」という感想がよく聞かれるそうです。劇場には椅子が用意されていますが、楽しみ方は自由。360度映像が映しだされ、子供たちは足下を泳ぐ浮世絵の魚たちを無心に追いかけていました。

 

 ところで、ミュージアムの1周年記念になぜ浮世絵を選んだのでしょうか。実は、町人文化が発展した江戸時代、浮世絵は美術品というより、今で言えば、テレビやインターネット、インスタグラムのような身近なメディアだったそうです。「浮世」とは「現世」のこと。「今を写す絵」なのです。

 

 なるほど! 日本を代表するアートであり、江戸時代のポップカルチャーを持ってきたということですね。

 

 さて、このミュージアム、まだまだ全然紹介しきれていません。今回は「浮世絵を浴びる」空間でしたが、特に「本を浴びたい」方には、一日中過ごしたくなる斬新な空間が待っています。いつかまたご紹介できたらと思っています。

 

横井弘海(よこいひろみ)

東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

 

( SmartFLASH )

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