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『ハリー・ポッター』の世界を深く知る “魔法” の歴史展/女子アナ横井弘海のエンタメ時間

芸能・女子アナ 投稿日:2022.01.07 20:00FLASH編集部

『ハリー・ポッター』の世界を深く知る “魔法” の歴史展/女子アナ横井弘海のエンタメ時間

 

この冬は全国的に寒さが厳しいですが、新年早々、東京23区に大雪警報が発出されて、一面銀世界になったのは驚きました。占いならば、幸先のよい「白星」。縁起のいい年になる前兆だと信じましょう。

 

 ところで、1年中、人通りの絶えないJR東京駅。その丸の内北口も年始からにぎわっていました。東京ステーションギャラリーで開催中の「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展です(2022年3月27日まで)。

 

 

 この駅ナカにあるギャラリーは、日本の近代建築の礎を築いた辰野金吾の設計で1914年に造られた東京駅・丸の内舎を、復原工事した際に作ったもの。館内は駅舎の構造をあらわにした煉瓦壁の展示室が特徴的です。近代日本の歴史を感じさせるとともに、「ハリー・ポッター」の雰囲気にマッチしていて、一気に展覧会の世界に引き込まれます。

 

 1997年6月、英国のブルームズベリー社から、当時は無名だった女性作家J.K.ローリング作の『ハリー・ポッターと賢者の石』のハードカバーが500部発行されました。この現代のファンタジー文学は世界的なベストセラーとなり、子供から大人までを魅了。2017年11月までに80の言語に翻訳され、日本では1999年に静山社代表の松岡佑子氏が翻訳・出版を手掛けました。

 

 その後、シリーズ7巻まで刊行され、映画や舞台にもなり、20年以上にもわたって絶大な人気を保っていることはご承知のとおりでしょう。

 

 この展覧会は、世界に名だたる大英図書館が2017年に企画・開催した展覧会「Harry Potter : A History of Magic」の国際巡回展です。1億7000万点を超えるコレクションからよりすぐった貴重な書籍や資料などにより、ハリー・ポッターシリーズの底流に流れるイギリスはじめ世界各国に伝わる魔法や呪文、占い、言い伝えの歴史を紐解くというものです。

 

 展示は全10章で構成されています。1990年6月、マンチェスターからロンドンへ向かう列車で、J.K. ローリングにアイデアが舞い降りた第1章「The Journey(旅)」から始まり、ハリーが学んだホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、第2章「魔法薬学」、第3章「錬金術」、第4章「薬草学」、第5章「呪文学」、第6章「天文学」、第7章「占い学」、第8章「闇の魔術に対する防衛術」、第9章「魔法生物飼育学」と続きます。

 

 最後の第10章「過去、現在、未来」では、大人になったハリーの姿を描いた舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』の衣装などが展示され、今も広がり続ける『ハリー・ポッター』の世界が紹介されています。「魔法はただ杖を振って、おかしな呪いの言葉を発するだけではない」という文章が『ハリー・ポッターと賢者の石』に出てきますが、この魔法魔術学校のカリキュラムは、ハリポタファンでなくても、心惹かれませんか?

 

 科学が十分に発達していなかった時代、人々は魔法や魔術を信じました。その記録の数々を、「昔の人はこんなことを信じていたのか」と笑い飛ばすことはできません。

 

 そして、日本初公開となる原作者 J.K.ローリングの直筆原稿やスケッチ、イラスト原画の展示も、ファンにはたまらないでしょう。イラスト版『ハリー・ポッター』を描いたジム・ケイの原画も見逃せないし、『ハリー・ポッターと賢者の石』の出版のきっかけとなったブルームズベリー社の経営者の当時8才の娘アリスの読書感想文「この本を読んで、とてもワクワクして、心が温かくなりました」という手書きの文字にも感動です。

 

 それにしても、いろいろなことが研究されていたのですね。第3章の「錬金術」は特に興味深かったです。 中世ヨーロッパでさかんにおこなわれた卑金属を貴金属に転換する術。シリーズ第1作のタイトルでもある通称「賢者の石」は、ハリー曰く「決して死なないようにする石」。つまり不老長寿の薬ですが、これを作るのも錬金術師。彼らによって、永遠の命を与える「命の水」を生成できると信じられていたそうです。

 

 展覧会では「賢者の石」の作り方を記した16世紀の不思議な巻物『リプリー・スクロール』や、歴史上、最も美麗な錬金術解説書と呼ばれる書籍『太陽の輝き』を見ることができます。

 

 錬金術師は、多分、金は作りだせなかったでしょうが、化学や薬学の幅広い知識をもった錬金術の研究が、後に自然科学や近代化学へとつながったことは確かです。錬金術に限らず、『ハリー・ポッター』の世界の底流にある言い伝えや魔法の歴史の奥深さは、この文学をさらに魅力的なものにしています。

 

 見どころの尽きないこの展覧会ですが、もし魔法を使えるとしたら、あなたはどんな魔法をかけますか? 雪の翌朝の東京なら、杖を振ったら、路面の氷が一瞬にして溶けるっていうのはどうでしょう。

 

横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

 

( SmartFLASH )

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