お料理をおいしくいただくには、盛り付けの美しさも大きなポイントとなります。お料理の作り方を教えるスクールはたくさんありますが、盛り付けだけを専門に教えていらっしゃるのは、この方だけでしょう。今回ご紹介する美女は、盛り付けデザイナーの飯野登起子さんです。
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この日は、スーパーで購入したパック入りのお惣菜を、飯野さんに美しく盛り付けていただきました。深いブルーの器に散りばめられた鮮やかな枝豆の水玉模様が、春巻や肉まんを引き立ててくれます。鮮やかな手さばきは、まさに「盛り付けの魔術師」と言ったところです。
緑豊かな鎌倉ご出身の飯野さんは、お母さまが日本刺繍のアーティストでいらしたため、たくさんの色の糸に囲まれた環境で育ちました。次第にデザインに興味を持つようになり、多摩美術大学グラフィックデザイン専攻科に進みます。在学中は、グループ店や個展を開催し、作品が入選して東京都美術館に展示されることもありました。
卒業後はグラフィックデザイナー・粟津潔氏のアシスタントとして働き、26才で結婚。その後、長男の出産を機に仕事を離れ、子育てに専念することになりました。
「専業主婦という言葉が嫌いなので、“専業お母さん” と言っています。女性にとって子育ては大切な仕事ですから。
この頃は、仕事を続けられている同級生を見て不安になったり、正直、キャリアを中断することに葛藤もありましたが、子供はあっという間に大きくなってしまいます。子供が親を必要としているときに、手をつないであげられたので、振り返ると、これで本当によかったと思えるようになりました」
20年間、専業お母さんを続けた経験が、紙のうえから器のうえへと飯野さんのデザインのステージに大きな変化をもたらしました。そのおかげで、復職後も大活躍することになります。
「green食堂」と名づけた架空のおもてなし食堂や、テーマを決めて料理を持ち寄る研究会を自宅で100回以上も開催し、盛り付けやおもてなしを楽しんでいます。
2011年からは、自由大学で「おうちパーティ学」や「おいしい盛り付け学」等の講義を担当。2013年、自由大学の分校・尾道自由大学が開校してからは、広島県尾道市にも通うようになり、近隣の島根県の窯元や農家とコラボした企画も誕生しました。この春からは、リアルな講義が復活する予定です。
今後は、次世代や海外に向け、日本の伝統的な手仕事の美しさを伝えていきたいという飯野さん。その土地の土で焼かれた器に、その土地で育った野菜や果物、魚介類などを盛り付けていきたいそうです。
その取り組みはすでに始まっています。昨年末、生まれ育った地元・鎌倉から、鎌倉彫りのお重やお弁当箱に盛り付けて撮影したいという依頼を受けました。ゴージャスなお弁当箱に鎌倉の食材や総菜が映えます。日本全国、それぞれの地域で競うように盛り付けていったら、奥の深い新たな食文化を魅せることができそうです。
■美しい盛り付けデザインのための3カ条
(1)食材や素材の形や色をよく観察しましょう
(2)器を選び、盛り付けの主役と脇役を決めます
(3)自分の好きなように、おいしそうな盛り付けデザインを作ってみましょう。盛り付けに決まりはなく、無限の可能性があります
●日下千帆(くさかちほ)
1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も
( SmartFLASH )