芸能・女子アナ
黒犬のモザイクに思わず「かわいい!」2000年前のタイムカプセル「ポンペイ」に興味津々/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.18 16:15 最終更新日:2022.02.18 16:25
いま、東京国立博物館では特別展「ポンペイ」(4月3日まで)が開催されています。かつて現地を訪れて味わった感動をもう一度体験したいと思い、つかの間、イタリア気分を味わってきました。
西暦79年、イタリアのナポリ近郊のヴェスヴィオ山で大規模な噴火が起きました。この噴火により、ローマ帝国の都市ポンペイをはじめ、ヘルクラネウム(現エルコラーノ)など周辺の都市が火砕流に飲み込まれ、火山灰に埋没しました。
【関連記事:女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」見知らぬ人の日記を読んでハマる】
ヴェスヴィオ山は東京ディズニーシーのシンボル的存在「プロメテウス火山」のモデルになっている美しい山です。周辺は風光明媚で、火山灰土壌は果物栽培に最適。おかげでポンペイは、ワインやオリーブの名産地となりました。
しかし、それは、古代から何度も大噴火を起こし、そのたびに甚大な被害をもたらしてきた厄介な火山の証拠でもありました。
あらためて考えてみても、なんという悲劇だったのでしょう。 昔、ポンペイに行ったとき、火山のふもとに広がる遺跡の広さに驚きました。それが、たった1日ですべてが壊滅するなんて!
18世紀から今なお続く発掘により、ポンペイは多くのことを私たちに語りかけます。皮肉なことに、町全体をびっしり覆った火山灰は、シリカゲルのように湿気を吸収し、ものの劣化を最小限に抑えました。
2000年前の生活空間や生活そのものを封印したタイムカプセルのようなポンペイ遺跡は、古代ローマの街区や建造物が当時のまま残る唯一の町。
「ポンペイ・レッド」と呼ばれる鮮やかな朱色が残る印象的な壁画や、工芸品・美術品など発掘品の数々は、イタリア・ナポリ国立考古学博物館の約150点です。
また、「ファウヌスの家」「竪琴奏者の家」「悲劇詩人の家」の一部を映像とともに再現しており、遺跡や当時の生活空間の雰囲気も感じられました。
ところで、2000年前ってどんな時代でしょう。日本だと弥生時代か、東北では縄文時代だったかもしれませんが、古代ローマ帝国は「パクス・ロマーナ」と呼ばれる黄金期を迎えていました。
ポンペイの人口は約1万人。ローマ帝国の都市に備わったフォルム(中央広場)、劇場、円形闘技場、浴場、運動場や神々を祀る神殿がもちろんありました。
モザイク、壁画、彫像、工芸品から、豪華な食器、調理具など日用品にいたるまで、ローマ市民の豊かな暮らしぶりは驚きです。貧富の差があり、奴隷もいる超格差社会でしたが、社会には流動性があり、解放奴隷がビジネスで成功したり、女性にも活躍の機会があったようです。
上流社会では、自分が教養人であることを訪問者に印象づけるため、筆記用具やパピルスと家長の肖像画を並べて掛け、トロイア戦争の壁画を描いた人もいたとか。
住宅を飾る絵には、かわいい黒犬にも意味がありました。帝政期、玄関口に「猛犬注意(CAVE CANEM)」の銘とともに番犬の存在を示すモザイクが人気でした。番犬なのに、いま見るととてもかわいいのです!
それにしても興味深いのは、いまのイタリア人につながるような、センスがよくて、美味しいものに目がない感じが展示から伝わってくること。町全体で600以上の店や工房が発掘されており、パン屋は34軒あったそうです。製粉所や大甕(おおがめ)が埋め込まれたカウンターがあるテイクアウトできる料理屋も特定されています。
骸骨が不気味なモザイクのテーブル天板がありました。通称「メメント・モリ」。その意味は「死を忘れるな」。「古代ローマの社会では、いかなる身分や立場であろうとすべての人に平等に死が訪れることを意識し、ひるがえって今を楽しもうという気風があった」と説明書きがありました。
「今を楽しもう!」その部分だけが目に焼きついています。またイタリアに行きたくなりました。
横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)
( SmartFLASH )